デロイトトーマツグループが誇るデータ分析の専門集団。
中核メンバーが語る、
デロイトアナリティクスの魅力と独自性とは?
社員インタビュー
有限責任監査法人トーマツ
Deloitte Analytics
vol.01
桑原 里枝
Rie Kuwahara
有限責任監査法人トーマツ
Deloitte Analytics
シニアスタッフ
小売業、建設業、製造業等の監査業務におけるリスク識別のためのデータ分析業務を中心に、分析計画から品質管理までを担当。過去に小売業の販促ROI最適化ツール作成支援業務等にも関与。
デロイトトーマツグループにおけるデータ分析の専門部隊
“デロイトアナリティクス”
Q
まず、デロイトアナリティクスとは何なのか?
グループ内でどのような位置付けなのか?
という全体像を教えてください。
桑原
デロイトアナリティクスは、デロイトトーマツグループ内の有限責任監査法人トーマツに属する、“データ分析コンサルティングの専門部署”です。グループが提供する全サービスを、データアナリティクスの切り口から支援するコンサルティング部門として発足しました。グローバルで13,000人を擁するアナリティクス専門家の知見を結集し、監査業務そのもののアナリティクスをはじめ、組織変革や企業の業績管理、さまざまなレポート作成の自動化などの事業活動支援まで、顧客の課題とニーズに応じた幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
デロイトアナリティクスの魅力は大きく2つあると思います。1つ目は、新卒入社1年目から、必ずデータ分析コンサルタントとしてデータ分析業務を通じた企業・社会への貢献を行える点、2つ目は、グローバルに事業展開する大手企業の役員・部長クラスと、データ分析のプロフェッショナルとして20代のうちから一緒に仕事ができる点です。当部門に新卒入社する人たちは、この2点に興味をもって入社することが多いです。
データを活用しながら監査上のリスク分析を行う
Audit Analyticsチーム
Q
デロイトアナリティクスの
業務内容を教えてください。
桑原
デロイトアナリティクスには3つの業務があります。Audit Analytics、Business Analytics、研究開発です。まず、私が主に担当しているAudit Analyticsの説明をします。
このチームでは主に会計監査に利用する、リスク評価やリスク識別、監査クライアントのビジネス状況の理解につながるデータ分析を行います。リスク評価といってしまうと同様の業務を行っている企業もあるように思えますが、我々は監査手続上のリスク分析がメインである点が特徴です。たとえば、数億件にのぼることもある年間取引を一度に分析・視覚化してリスクを識別することで、経験則では捉えられない特異な傾向を識別できるようになります。
Q
Audit Analyticsでの業務フローは
どんなものですか?
桑原
“監査を行う際にデータ分析を活用してみよう”と思った会計士からの依頼によって我々の業務は発生します。たとえば、“有価証券報告書に計上する在庫金額をこれまでは業務システムと会計システム間の整合性、棚卸しへの立会い、ヒアリングといった方法によって検証していたが、より全体感を把握しながらも特定の場所、アイテムレベルでのリスクを識別したい”といった依頼です。どのようなデータがあれば検証可能かということについて会計士と議論するところから業務がスタートし、必要なデータを監査クライアントに依頼、そしてデータ分析を実施できる状態に加工し、分析します。そして“この結果から目的が達成されるか?”を会計士と議論。その時点で検証に十分な結果が得られていればそのまま監査に使用してもらいますし、分析が不足していれば、どのような分析が加わればよりよい結果が得られるかなどを再度検討してやり直す。この作業を繰り返し、監査手続として成立する状態にすることが監査におけるデータ分析のゴールです。このような案件を同時にいくつか並行して実施しています。
監査・財務分析を切り口にしたコンサルティングだからこそ、
経営陣と対峙できる
Q
監査業務に関連する仕事、というのは
なかなか一般の学生には想像しづらいものだと思いますが、
入社される皆さんは監査に興味をもったのでしょうか?
桑原
私は中途入社なのですが、監査そのものに興味をもったというよりは、監査を軸にすればクライアント企業の業務プロセス全体を横断したコンサルティングができるということに興味をもちました。
前職ではメーカーのシステム部に在籍しており、 “○○がわかるデータもっていないの?”という相談を多くの部署からいただいていたのですが、今のような分析の経験や観点も自分にはなかったので、そのベースになるようなデータそのものを提供するのみにとどまっていました。
そんな場面に何度も出くわす中で、データの活用と、どのようなデータを蓄積していくべきかというデータマネジメントに興味を持ち、転職を考えるようになりました。
IT系コンサルティングファームや事業会社のデータ分析部門も検討していたのですが、前者はクライアントのIT部門としか仕事ができないことが多いですし、後者は自社事業のデータ分析しかできない可能性が高いということで、もっと幅広い領域の課題にチャレンジする機会が欲しいと思っていました。その矢先、監査法人トーマツ(デロイトアナリティクスが監査法人内で部署として立ち上がる前)に出会い、財務を切り口にすれば経営陣と直接対応ができるチャンスも多く、かつクライアント企業全体を巻き込んだデータ活用プロセスの設計にも携われそうだと思い入社を決意しました。
蓋盛
学生の方には想像しづらいと思いますが、会計監査、内部監査業務においてアナリティクスを提供しているところがデロイトアナリティクスの強みであり、特徴でもあります。実際の現場で業務がうまく回っているように見えても、財務状況や内部統制・ガバナンスに懸念があれば、その企業経営が長続きするとは言えません。このような領域にもデータを用いてアプローチできるコンサルティングファームは世の中に多くないと考えます。さらに、コンサルタントとしてキャリアを積んでいく上で、会計知識がまったくないというのは致命傷ですが、当社で経験を積んでいけば会計や税務の知識が自然に身についていくのも、ビジネスパーソンとしての長期キャリアで考えると嬉しい点だと思います。
蓋盛 元希:有限責任監査法人トーマツ Deloitte Analytics|2014年中途入社、シニアスタッフ|大手SIer、ITコンサルティングファームを経て現職。物流、商社、通信事業、報道メディア、小売業、製造業、製薬業、旅行業、自動車サービス業、地方自治体等、多種多様なビジネス課題に対する業務要件・課題分析およびデータ利活用の立案等に多数従事。現在は、データ分析を用いたコンサルティング業務およびData Driven Marketing支援業務に従事している。
データを駆使した戦略コンサルティングを行う
Business Analytics
Q
一方、Business Analyticsの
業務内容やフローはどんなものでしょうか?
蓋盛
我々の業務は“データ活用をコアとしたコンサルティング”というと想像しやすいでしょうか。クライアントの課題解決に関するご依頼、たとえば売上を上げたい、会員数を増やしたい、顧客視点に立ったサービスを立案したい等、いわゆるビジネスコンサルティングと同様のご依頼をいただくところから業務がスタートします。
まず、そもそもクライアントが認識している課題は正しいのか?本質的な別の課題があるのではないか?という深掘りを行い、解決すべき課題(プライマリー・イシュー)を再定義します。我々の特徴は、このプライマリー・イシューに対して「データ」を用いてどのように解決することができるか?を考えるところです。
その後、プライマリー・イシューにはどのようなサブ・イシューが含まれているか?課題解決に必要なゴールは何か?何をどの程度(定量的に)達成すればよいのか?検証するために必要な手法は何か?必要なデータは何で、それは今手元にあるのか?無ければどのように収集するのか?という一連のプロセスを検討、設計していきます。
進め方に関する承認をいただいた後は、分析を実施し、得られたインサイトから対応方針・施策を取りまとめ、クライアントへ報告します。
具体化した施策を説明した後、クライアント側で、施策の実行フェーズでも我々の支援が必要と判断した場合には、我々も参画してプロジェクトの完遂をサポートします。
Q
データ分析が特徴ということですが、
データを活用したコンサルティングには
どんなメリットがあるのでしょう?
蓋盛
課題解決に資する調査・分析結果や、施策に取り組むことによる改善インパクトを定量的に客観性を持って説明することでクライアントに納得いただけることです。
多くの経営層の方々が感じていらっしゃる課題意識は正しいもので、それに対して取り組もうとされる方向性も間違っていないと思います。しかし、それに取り組むことによるインパクトがわからないためになかなか第一歩が踏み出せない、そのようなお客様が多いのではないかと感じています。そのため、単に“これが課題です。こうすべきです”と提示するだけでは、“たしかにそうなんだけどね。”と理解はしていただけても、実行には移しづらいと思っており、そこでデータを用いて、“この課題によって年間○○円の逸失利益が発生しています”、“これに取り組むことによる改善効果は○%と試算できます。”など、と具体的な数字を用いることで、意思決定に繋げていただけると思っています。
定量的な結果(Fact)と
具体的施策によってクライアント変革を促進
Q
データ活用がクライアント企業に
大きなインパクトを与えた事例を教えてください。
蓋盛
とある商品レビューサイトのテキスト解析を行った事例を紹介します。レビュー中にどのような話題(トピック)が発生した場合に商品評価が上がるか、下がるかということをテキスト分析技術(幣法人の特許技術)を活用して解析しました。その結果、商品を購入したお客様が実際に書き込んでいる(一部の製品機能に対する)不満と商品評価には関係性がないことが明らかになりました。商品開発で言うところのプロダクトアウトの発想にマーケットインの観点を取り入れていく、というクライアントの商品開発戦略の転換を、データ分析をもって支援できた事例です。
その他、時としてお客様が望む結果が導き出されないことは、データ分析ではよくあることです。これをそのまま伝えるのみに留めるのか、それともそこから考えられる解釈を汲み取り、お客様が次にとるべきアクションや具体施策案まで含めて助言するのか。そこが分析者とデータ分析コンサルタントの分かれ目だと思います。
データだけでは人は動かせない。
だからこそ面白い
Q
入社して感じた
デロイトアナリティクスの魅力はありますか?
桑原
魅力としては、監査や会計の知識がなくてもデータ分析を自分の強みにすればさまざまな分野で活躍できると確信できたことです。
また、コンサルティングファームではクライアントからの依頼があって初めて仕事が成立するため、クライアントや一緒に仕事をしている会計士の理解や同意を得ることが難しい点でもあり、やりがいに感じます。
蓋盛
多くの場合、クライアントは統計やデータ分析を専門にしてこられた方ではありません。そのため、仮に“このデータ上では統計的に有意差が出ているので・・・”と専門用語を並べても上手く伝わりません。分析を行う目的、その分析手法を採用した理由、分析手法の説明、分析結果が示す意味、分析結果から得られるインサイトを相手にわかりやすく噛み砕いて伝える力が分析コンサルタントには求められているのです。
私が感じているデロイトアナリティクスの魅力としては、自社開発製品(データ分析ツールやシステム)を保有していない点です。自社ツールや製品があればそれを用いた分析実施に制限される場合もあります。保有することによる独自性の発揮や、システム化による省力化・正確性の担保など、多くのメリットがある一方で、クライアントファーストの視点が薄くなってしまう可能性があります。我々は監査法人という特性から第三者的客観性が求められており、どこの製品を使わなければならないという制約はありません。クライアントの課題解決にもっとも効果的であると考えられる分析手法を選択し、分析実行のための最適な解析ツールを利用することができます。もちろん分析の業界でメジャーと言われる製品やツールは当社でも利用可能なので、個々人の成長の幅も広いと感じています。
これからの社会では課題設定やデータの解釈が
難解かつ重要になる
Q
近頃AI(人工知能)の活用が叫ばれており、
データ分析は人間がやる必要がなくなるといった論調も見受けられますが、
どのようにお考えですか?
桑原
これから10年後の世界を想像すると、AIが代替できる業務はそう多くはないと考えています。いくら技術が進歩したとしても、適切な課題設定自体をAIができるようになるのはまだまだ先です。何十年もの経験をもつ経営者と同じ視点で判断するなど機械では到底無理でしょう。小手先の分析スキルしかなければ人間は機械にとってかわられると思いますが、課題設定、分析手法の選定、アウトプットされたデータを当事者にわかりやすく伝える技術は、人間でないと持ち得ないスキルだと思っています。私個人として身につけ、伸ばしたいスキルもこの部分です。
蓋盛
私も同意見です。AIが分析業務を代替するといっても、課題設定なしにゼロから学習、分析することはできません。またAIには、インプットデータを特定のルールに則って処理することはできても、そのデータの背景や周辺の理解ができないという欠点があります。私は、今後データ分析の技術が複雑化すればするほど、分析結果が示す意味を正しく解釈できる人材は減っていくと思っています。それと同時に、その分析結果を解釈できてビジネスに落とし込み、実際の改善へ導くことができるデータ分析コンサルタントの需要は高まっていくのではないかと考えています。今そのスキルを実践を通して経験でき、優秀な仲間たちとともに学んでいけるデロイトアナリティクスの仕事は最高です。
研究開発チームの最先端技術を、
誰よりも早くビジネスに活用できる醍醐味
Q
データ分析の専門チームとして、
貴社としての独自性はどこにあるのでしょうか?
蓋盛
デロイトアナリティクス内に研究開発チームを持っているところです。データ分析を扱っていますという企業は増加傾向にあり、従来の分析手法だけを使っていたのではコモディティ化の波にのまれ、他社との差別化が図れなくなっていきます。そのためデータ分析のプロフェッショナルである我々は、最先端の技術はどのようにビジネスに活用することができるのかを研究する専門部隊を設置しています。だからこそ我々は、変化の早いデータ分析業界の最前線に居続けられるのです。実際に専門部隊の研究成果から生まれた手法で特許出願中のものもあります。研究開発チームが開発した最先端の技術をビジネスに応用し、変化を起こす側に存在すること、それがデロイトアナリティクスの強みの一つです。
文系・理系、統計知識の有無は関係なし。
常に学習し続けたいと思う方にジョインして欲しい
Q
最後に、皆さんの
将来イメージを教えてください。
桑原
先ほど申し上げた通り、個人的にはデータ分析の結果解釈だけではなく、将来の分析ニーズをイメージした上での必要なデータのあり方や蓄積方法の提案に興味がありますし、クライアントの中長期の姿を見据えて提案できるコンサルタントになりたいと思っています。今あるデータの分析にとどまらない、知識と経験をもとにした一歩先の提案を実現させたいです。
また、組織としては、データ分析をもっと活用していこうという世の中の流れも強く、当部門も引き続き拡大中です。今までの知見に加えて、最新技術をどんどんビジネス領域に適用させ、新しい価値を提供できる存在でありたいです。
そして、当部門は一緒に学びながら成長したいという意欲の持った人たちの集まりです。社会人になってこんなに勉強している人たちがたくさんいる組織はそう多くないのではと思いますし、その中で日々刺激を受けています。新卒の皆さんは成長意欲、学習欲が高いと思いますので、さまざまな分野のプロフェッショナルとともに学びながらチームと一緒に成長していく意欲のある方が来てくれると嬉しいです。
有限責任監査法人トーマツ Deloitte Analytics
他インタビュー
文系院卒の新卒社員が、データ分析コンサルタントとして社会人のキャリアをスタートした理由とは?
明石 裕太郎
有限責任監査法人トーマツ Deloitte Analytics
スタッフ