開催 | 2016.12.21 19:00-21:00 
登壇企業 | 株式会社経営共創基盤(IGPI)

EVENT REPORT | No.001

不確実性の高いビジネスの世界において
「新卒でコンサルタント」がオススメな理由

影響力のあるビジネスマンになりたい。いつまでも必要とされる人材でいたい。そんな漠然としたキャリアの理想を描きながら、コンサルタントを目指す学生が多くいますが、コンサルタントという選択の先には、実際にはどのような世界が広がっているのでしょうか。新卒でコンサルタントになるメリット・デメリットを、マネージングディレクターの塩野誠様と、ディレクターで、2児の母でもある富岡さやか様に伺いました。

イベント開催概要

イベントタイプ

特別対談

開催日時

2016年12月21日(水)

19:00-21:00

開催地

株式会社経営共創基盤本社 セミナールーム

東京都千代田区丸の内一丁目9番2号 グラントウキョウサウスタワー17階

参加者

64名

スピーカー

株式会社経営共創基盤(IGPI)

経営コンサルティングやM&A実行支援等の特定テーマに留まらず、事業面・財務面・組織面の課題が連動した全社的テーマに対応するプロフェッショナルファーム。企業投資も積極的に実施し、クライアントの再生から成長のための戦略立案・実行を支援。

塩野 誠

Makoto SHIONO

株式会社経営共創基盤

パートナー・取締役マネージングディレクター

ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニー、ライブドア証券(取締役副社長)等にて国内外の事業戦略立案・実行、資金調達、M&A、投資に従事。テレコム・メディア・テクノロジー業界を中心にベンチャーから企業再生までを経験。近年は自動車やヘルスケア産業、テーマとしてオープンイノベーション、AI/IoT、危機管理やベンチャー投資を積極的に進める。経済産業省産業構造審議会分散WG委員、人工知能学会倫理委員会委員。

富岡 さやか

Sayaka TOMIOKA

株式会社経営共創基盤

ディレクター

マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、製薬業、病院、小売業、製造業などに対するコンサルティングを経験。主に、全社改革、成長戦略、組織改革、業務改善(ライセンシング、臨床開発、CRM)等に携わる。IGPI参画後は、ライフサイエンス系ベンチャー企業の会社設立支援や知財ファンド立上げ支援、事業会社の事業戦略策定・新規事業支援等に従事。

当イベントのアジェンダ

19:00-20:00

ファーストキャリア対談

20:00-20:30

質疑応答

20:30-21:00

会社・インターンシップ説明

「飛び級」を可能にする、コンサルタントという選択

Q
「コンサルタントは早く成長できる」と言われるのは本当でしょうか?

塩野

本当だと思いますよ。成長の定義も難しいところですが。

コンサルタントは新卒から“プロ”のビジネスマンとしての期待と教育を受けながら、能力を上げていきます。役職を指標とすることが正しいかはわかりませんが、コンサルタントが、新卒で事業会社に入った人よりもはるかに早く、その事業会社の経営企画部・社長室に途中から入るケースも見受けられます。そういう“レバレッジが効く”ところはコンサルタントになることの利点ですね。

実際に、新卒でコンサルタントになった人と、たとえば日本の大手事業会社に10年勤めた後にビジネススクールでMBAを取得して、それからコンサルティングファームに転職した人とを比較すると、同じ年齢でも前者の方が、プロフェッショナルとしてのスキルの面では圧倒的に能力が高いことが多いです。

富岡

もちろん高い期待があるからこそ要求も厳しいので、精神的なタフさが求められる仕事ではありますけれど。3年から5年働いて、事業会社の経営に入るというケースは確かに見受けられますね。

Q
後からどこの事業会社にでも行けるということですか。それも高いポジションで。

塩野

「どこでも」ではないです、制約はもちろんあります。たとえばメガバンクや商社では“新卒入社した人しか”トップになれない、という様に、中途の幹部候補を採用しない企業は一定数存在します。したがって、コンサルタントになれば無限に選択肢が拡がるというわけではありません。

Q
女性はコンサルタントに向きますか。体力的にキツい仕事というイメージがあるのですが

富岡

女性にこそ勧めたいですよ。体力的にも精神的にも厳しい仕事は、他の業界でも同じくあるのではないでしょうか。むしろコンサルタントの仕事に特徴的なのは、“長時間会社に居続ける”ことではなく、とにかく一つ一つのプロジェクトで“バリューを出して貢献する”ことが求められるということ。つまり時間よりも、成果でその人の価値が測られるのです。

面白くなければ雛壇にいられない、ビジネスの世界の「芸人」

富岡

たとえば、育児休業後いざ仕事に戻る時に、ポストが無くて悩むということはコンサルティングファームではあまり考えられません。コンサルタントとして働いたことが、ある種の“資格”となって、その後もプロフェッショナルとして働き続けることができています。

塩野

そうですね。それに、働き方における自由度の高さは本当に魅力だと思います。極端にいえば、バリューさえ出せば、どこでどのように仕事をしたっていい。ただ、逆にいえばバリューを出せなかったら居場所がない。笑わせなければお座敷に呼ばれない「芸人」さながら、厳しさの伴う世界でもあります。

富岡

マッキンゼー時代の同期は約20名いましたが、今は別のことをしている人も非常に多いです。もちろん、向いていない人が無理をして続ける必要もないと思いますし、その場合でも別のことができるのはプロフェッショナルとしてのスキルが身に付いているからだと思います。

Q
では、コンサルタントに向いている人とは。

塩野

コンサルタントは新しいことを常に学び続けなければならないので、知的好奇心の強さは必要な条件といえるのではないでしょうか。

コンサルティングの本質として挙げられることの一つに“課題解決”がありますが、“課題解決手法”というものは、特定の地域・業種・業務に固有のものとは限らず、普遍性と汎用性を持つものです。業界横断的に知見を移動すること、たとえば、アパレル業界での課題解決手法が金融業界に適用できる場合もあります。したがって、常にさまざまな業界の多種多様な情報を次々と収集して分析していかなければなりません。この点は、未知の事柄に前向きに向き合うことができる姿勢を持てる人の方が向いているといえるでしょう。

富岡

情報収集も必要ですが、その先の過程も重要です。膨大なインプットから、プロジェクトを遂行するうえで必要なものを取捨選択して、整理して仕事を進めなければいけません。また、プロジェクトを進める過程では、マルチタスクを効率的にこなさなければいけません。したがって、要領の良くない人には向いていないのかもしれません。

塩野

たぶんこれは、皆さんでもイメージできるところでは、飲み会の段取りや一夜漬けが得意な人ですね。飲み会の段取りができる人は、参加者の好きな食べ物や苦手な食べ物を加味しつつ、お店をリサーチして予約して、参加者のキャラを考えて座席決めする、という複数のタスクを相互に調整しながら同時にテキパキこなせるという意味で。一夜漬けが得意な人というのは、短期間に膨大なインプットを行って、目的に沿った結果を出せるという意味で、指標になるかと思います。

Q
マルチタスクといえば富岡さんはお子さんもいらっしゃいますよね。

富岡

ええ、4歳と1歳になる子どもがいます。子育ても「プロジェクト」として捉えることは可能で、子ども・夫・手伝ってくれる両親など子育てに関係するすべての人の協力を仰ぎつつ、自分もプロジェクトマネージャーとしてコミットしていますよ(笑)。今日はおじいちゃんが保育園に子ども達を迎えに行き、おばあちゃんが夕食を準備して、もう少ししたらお父さんが子どもをお風呂に入れるはずです。必要に応じてタスクを分単位でお願いしていて、たとえばお父さんが帰ってきたらすぐお風呂に入れられるように「19:30にお風呂のスイッチを押してください」まで紙に書いてきました。

塩野

細かい!

富岡

プロジェクトマネージャーですから。円滑なプロジェクト遂行のためには、それくらいブレイクダウンしないと(笑)。

コンサルタントに向いている人の2つの条件
1. 知的好奇心が旺盛
2. マルチタスクを要領よくこなせる

Q
新卒がキャリアを形成する上で知っておくべきポイントは何ですか?

塩野

コンサルタントに限らず、これはキャリアを考える上で普遍的にいえることだと思いますが、成功や出世には、自分の努力以外の“運”が大きく影響するので、「こういう人になれば」とか「これをひたすら頑張れば」成功すると、学校の勉強のように具体的に表現するのは難しい気がします。

有名企業に就職しても希望の部署に配属されるかはわかりませんし、その部署の将来も予測できません。日本を代表する企業でさえ経営危機に陥る例は、皆さんも昨今のニュースでご存じだと思います。このように、自分ではコントロールしきれない要素は多くあります。だからこそ、若いうちにどこにでも通用するスキルを身に付けておくことが重要なのです。そして運が巡ってきた時に、プロとして準備ができていることです。

キャリアの50%は、自分でコントロールできない

富岡

そうですね、5割は自分の努力以外の要素が影響すると考えていいでしょう。したがって強いていえば「運の良い人」が成功するといえるのではないでしょうか。自分がコントロールできない所でも、大きく物事が動いていくのがビジネスの世界です。さらに、悲しいですが、大人の世界では、他人は自分のことを、あなたが思っているよりも気にしてくれません。

塩野

だから、大学受験までは当然のことだった「努力に正比例して結果が出ること」を期待したり、周りの人に変に期待したりしない方がいいですね。期待して裏切られて、心を病んだり、ストレスに苛まれたりしてしまうのは人生もったいないです。いろいろなことが起きても落ち込みすぎず、人生をメタに見て楽天的に考える方が良いのではないのでしょうか。

学生のみなさんも、これから就職活動をして、希望した会社に内定できなかったり、友人よりも相対的に「いいところ」に行けなかったりするとしても、それで終わりでは決してありません。進路に正解を定めないで、自分なりに前に進み続けることを大切して欲しいと思っています。

ビジネスの世界は一般に予測可能性が低く、思わぬ要素が自分のキャリアに影響してしまうのが常。だからこそ、若いうちにどこでも通用するスキルを身に付けられる環境に身を置くことの重要性が強調された対談でした。コンサルタントは、プロフェッショナルとして期待されるスキルを早く身に付けることができ、結果として事業会社の経営に若くして参画できる等、飛躍的な成長ができる選択肢といえるのだと思います。

第二回は「Professionalism」をテーマに経営共創基盤(IGPI)の採用責任者である田中加陽子様と、外資系戦略ファーム出身ディレクターの中原大輔様がお話しします。

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