コンサルタント本来の提供価値にこだわりながら組織変革を続ける
設立5年目の若きBIG4ファームの可能性
社員インタビュー
KPMGコンサルティング
株式会社
スピーカー
KPMGコンサルティング株式会社
佐渡 誠
さど まこと
KPMGコンサルティング株式会社
執行役員 パートナー
(写真 中央左)
松家 ひかる
まつか ひかる
KPMGコンサルティング株式会社
コンサルタント
UCバークレー卒、2016年9月入社。
(写真 右)
滑川 永
なめかわ はるか
KPMGコンサルティング株式会社
ビジネスアナリスト
東京大学卒、2018年4月入社。
(写真 中央右)
石山 秀明
いしやま ひであき
KPMGコンサルティング株式会社
ビジネスアナリスト
シカゴ大学大学院卒、2018年10月入社。
(写真 左)
デジタル時代に問われる、コンサルティングファームの立ち位置
松家 私が就活をしていたのは今から3年前です。コンサルティングファームにも戦略系とかIT系とか様々ありますが、とにかく色々と吸収したいという気持ちが強くあって、総合系ファームに絞って就活をしていました。その中で、なぜKPMGコンサルティング(以下、KPMG)を選んだかというと、グローバルでは大きなブランドで、たくさんのアセットを有していますが、当時まだうちの会社自体はできたばかりで、BIG4の他のコンサルティングファームに比べて、新卒も少なく、フォーカスが当たるような環境がいいなと感じて入社を決めました。
滑川 私はコンサルティングファームを中心に受ける中で、最終的にKPMGと別の会社で迷っていました。社内の研修について質問をした時に、もう一社は新卒を100名くらい採用するようなコンサルティングファームで、教育研修も整っていて、明確に決まったプログラムがありました。一方でKPMGは、毎年トライアンドエラーを繰り返しながら、何が最適かを探っているような状況で、「あなたの意見で作っていきたいと思っている」という風に言われて、面白そうな会社だなと感じたのを覚えています。
石山 もともと僕は大学院を卒業してから、IT系の仕事をするために就活をしていました。自動化や仮想化といった仕事に携わってみたいという気持ちがあったので、コンサルティング業界は全く受けていなかったんです。就活をするなかで「デジタルレイバーに移行していく過程で、余った人間の労働力をどのように使っていくのか?」ということをよく質問していたのですが、そのうちに、一つの組織内でデジタルを用いて人間の労働をロボットに移行することと、ロボットに代替されて余った労働力を活用していくことの両方に携わることには限界があると気づき、モヤモヤしてしまいました。
そこで、少しずつ視野を広げてコンサルティング業界も志望するようになったんです。そんな中、先ほどのような質問に一番よく答えてくれたのがKPMGでした。「この2つに同じぐらい興味があります。」という話をしたところ、KPMG内にはデジタルレイバーをやっているユニットもあれば、逆に組織改革や人事のことをやっている部署もあるなど、2つの事柄における実例を、会社の現状を交えて具体的に答えてくれました。また、入社から一年半の間に様々な経験ができると聞いたので、「自分の興味がある分野に触れながら、専門性を見極めていくことができそうだ」と考えて、入社を決意しました。
佐渡 今後、デジタルが進めば進むほど、コンサルティングファームの立ち位置はより難しいものになっていくでしょう。安きに流れるのなら、時代のニーズをキャッチしてロボットを大量生産して、デジタルソリューションをはめこんでいけばいいですよね。ただ、それはそこまで価値の高いものではなくて、むしろ異なる業界のコンペティターと争う世界に入ってしまうと思うんです。
最近は考えなくても稼げる仕組みがあるので、そうやって稼ぐことがコンサルティングだと思ってしまうと、“コンサルティングファーム”には行けると思うんですが、“コンサルタント”としてはどうなんだろう?となってしまう。「チャカチャカ売って、大きな売上を作った。ロボットを300体作った。凄いでしょう。」と言いたいのなら、他のビッグファームでやってほしいと思いますね。
むしろそうした領域からは距離を置いて、どうやってデジタルと組み合わせていけば面白い価値が生まれるのか、余剰人員をどう活用すれば産業活性に導けるのかとか、そういうことを考えるのが楽しいじゃないですか。コンサルティングって本来その力が大事で、左脳と右脳を半分ずつ駆使しながら、業界に変革をもたらすという部分に醍醐味があると思うんです。
若手主体の「会社づくり」と「コンサルティングワーク」
佐渡 特に期待している役割として、「コンサルティングワーク」と「会社づくり」という2つの側面があります。コンサルティングワークに若手を積極的に参加させるコンサルティングファームはあると思いますが、会社づくりにも若手が加わるというのはKPMGしかないと思うんですよ。例えば、海外や国内での採用活動やマーケティング活動などには、若手が中心となって取り組むことが多いです。普通のコンサルティングファームだったら、「コンサルタントが採用活動をやっている暇があったら、コンサルティングワークに集中しろ」ってなると思います。でも私たちは、若手社員に積極的に会社づくりに携わってもらいたいと思っているので、採用や評価制度、部活動のようなコミュニティ形成等は、特に若手が主体となって取り組んでいます。
コンサルティングワークに限って言うと、これは5年目という部分もあるのですが、事業規模はそこまで大きくありません。ただ、この規模でやるのが絶対に良いと思っているんです。なぜなら、事業規模が大きいコンサルティングファームになると、ビッグディール、つまり大きなビジネスを作ることに全員が重きを置いてしまいます。大きなビジネスを作ろうとすると、システムを開発したり、ライセンスを販売したり、ITソリューションを右から左に横展開したりすれば、レバレッジが効いて売上も利益も伸びていきます。でもそれをやってしまうと、“個”が立つコンサルティングにはならない。幸いなことにKPMGはそこまで大型の案件が多くない分、コンサルティングワークについては「原点回帰」して、コンサルタントとしての足腰というか、考えぬく力というのを求めながら、しっかりとそこでベネフィットを出していきます。
もう一つの会社づくりですが、これは5年目の会社には5年目の会社としての行動様式があります。何がベストかというのを追求するために、チャレンジしていいステージにあると考えているので、必然的に制度もどんどん変えていきますし、若手から出る色んなアイディアを聞きながら、研修も、評価制度もより良いものに変えていっています。その辺りは学生の皆さんにもきちんと伝えていますし、「まだ変えていいステージにあるので、力を貸してほしい」と話していますね。設立30年を迎える会社では、30年のステージに立ってしまったらできないことも多くあります。そうした企業に比べて、まだ出来上がっていないKPMGだからこそ、自ら「こうしたい」と声をあげられる方に入社してほしいと考えています。
KPMGならではの、若手プール組織“スタートアップス”
松家 私は入社してから、採用には結構携わらせてもらっています。私自身が海外の大学を出ていることもあり、海外のキャンパスビジットに同行して、どうして日本で働くことにしたのか、どうしてコンサル業界なのか、どうしてKPMGなのか。そういった話を、学生に近い立場として伝えていますね。他にも、実際にコンサルタントはどのような仕事をするのか、フェルミとかケースとか色々な本を読んでいるかもしれないけど、実践でやる仕事はこういうものだよ、というような入社後の話もしています。また、私がスタートアップスに所属していた時には、同期と共に「こういう研修をやりたい」という案を3つくらい出して、費用面や、その研修が今後の私達のコンサルティングスキルにどう役立つのかなど、しっかりとロジック立てて、自主的にプレゼンしたりしましたね。
佐渡 いま“スタートアップス”という言葉が出ましたが、これはKPMGならではだと思います。うちでは新卒入社から一年半、どのユニットにも属さない、 “プール組織”という形態をとっていて、その組織のことを”スタートアップス”と呼んでいます。新卒で入社するとまずは全員がスタートアップスに所属し、力が付いたらユニットへ上がっていくという仕組みです。もちろんその期間にも、プロジェクト単位でコンサルティングワークに携わりながら様々な経験を積み、コンサルタントとしての足腰はしっかりと鍛えてもらいます。
滑川 社内ではスタートアップスの一員として、とにかく「意見をあげて欲しい」と言われますね。若手ならではの率直な意見を求められるので、できるだけ沢山の意見を言うように心がけています。若手の中でどういう学び合いの仕組みを作るのが良いか、話し合いを持ち、クラブとしての活動を設けたりもしました。スタートアップスを通して、そういうことを積極的にやって良いんだなというのが染み付いた感じですね。
佐渡 そこは大きいですね。僕はこの業界に長くいますが、現在のコンサルティング業界の会社の姿が必ずしも正しいと思っていないし、未来永劫栄えるモデルだとも思っていない。むしろ5年後、10年後は変わっていくべきだと考えています。ましてや、僕らは本来のコンサルタントとしての価値を追求しようという強い思いを持った、個が集まってできた会社なので、未来を創るということに関しては、むしろ一歩ひいているところがありました。だからこそ若手社員が中心となり、新しいモデルを作っていってくれることへの期待は大きいです。とはいえ私も昔からこの業界にいる人間なので、いい部分は残して欲しいですし、新卒入社の社員には、コンサルタントとして本来必要なスキルをいち早く磨き上げて欲しいという気持ちもあります。ですが、それでもどこか古い自分の価値観を否定しながらやっていますね。
他では味わえない、KPMGが貫くコンサルティングの在り方
佐渡 コンサルティングファームの事業における違いはどこにあるのかとよく聞かれますが、実際のところ差はありません。会社がどうこうというよりも、良い上司、良いクライアントに巡り会えるかは運次第になってしまう。そんな風に差別化しにくい中でも、KPMGの最大の特徴は、他のビッグファームと比べて「事業ステージが違う」という点です。若手が中心となって、会社の文化や風土を変えていける。ひいては、業界全体にも影響を及ぼしていける。そこはKPMGが唯一与えられたポジションだなって思います。
松家 研修制度とか採用にも携わっているので、他社にいるコンサルタントよりも愛社精神のようなものが育まれていきますね。自分たちで作っているという実感があります。学生の皆さんに会社のことを説明する機会も多いので、説明していると「うちの会社、めっちゃいい会社だな!」って、あらためて思うんです。
滑川 確かに、KPMGってどういう会社なんだろうって考える頻度はだいぶ多いですよね。
佐渡 若手社員に自ら語ってもらうことで、「KPMGはこういう会社だ」というのを常々考えてもらいたいというのはあります。自分たちで発信していくうちに、もっとこうした方が良いという部分にも気づくだろうし、そういう文化が根付いていくはずです。だから、新卒をどんどん前に出すというのが、意図的な僕らの戦略でもあります。
松家 他社と比べると働き方もかなり違うと感じていますね。スタートアップスに所属している一年半の間に、異なるサービスや異なる業界のプロジェクトを最低3つは経験するというルールがあるので、一つの領域に年単位で縛られることはありません。さらに一年半経った後も、自身がどのサービスラインに携わるかという意思表明ができます。戦略なのか、デジタルレイバーなのか、自分が何をやりたいのかをしっかりと見極めながら、最終的に自分の希望を踏まえてユニットが決まるというのは他のビッグファームにはないですし、一番違う部分だと思います。規模の大きなコンサルティングファームに入り、すぐに大規模プロジェクトにアサインされて、そのまま2~3年間プロジェクトから出ることができずに、希望の領域に携わることができないまま辞めてしまった知人は結構います。
佐渡 コンサルティング業界において、稼げるプロジェクトのタイプって大きく類型化できるんですよ。そうすると、その中で一定のパフォーマンスを発揮できる人材が重宝されたり、評価されたりするので、どうしても型にはめ込んでいこうとするんですね。逆にいえば、そこにはまらなければどうにもならないと判断されてしまう。その点、うちはあまり大きな類型がなくて、多種多様なエンゲージメント、キャリアモデルがあるので、仮に一つでつまずいたとしても、他のところでちゃんとフィットする可能性が高い。
コンサルティングファームは近年、その規模が次第に大きくなるにつれて、どんな状況でもビジネスが倒れないように、なるべく人に依存しないモデルにシフトしてきた背景があります。もちろん経営上はそれが正しいのですが、正直、グロース至上主義で、そこまで価値のないものまで集めてきて、規模を大きくしていくというところには意義を見出せない。スケールを取りに行くことのメリットが感じられないというのはありますね。売上だけを追えば、会社としては良いのかもしれないけど、「個のコンサルタントとして本当にハッピーなのか?」「KPMGらしさってなんだっけ?」という議論は経営陣の間でも常になされています。そうして議論を重ねた先に、今のステージにおいては必要以上に売上を求めるのではなく、コンサルタントが本来やるべき、本当に価値の高いところにだけフォーカスして取り組む、ということを基軸において全ての採用や研修を行なっています。
コンサルタントとしての自立を実現するために、選ぶべき環境
石山 他のコンサルティングファームの研修やOJTは、しっかりとレールが決まっていて、ステップが明確になっていると思うのですが、KPMGでは、全てを自分で決めなくてはいけない設計になっています。スタートアップスに所属している期間には、半年毎に自分のここができていて、ここができていないというプレゼンの機会があります。自分はこの力をつけなくてはいけないというのを、自分で明確にする必要があるので、5年後、10年後を見据えて、OJTで何をやりたいのか、どういう働き方をしたいのかを常々考えさせられます。今のプロジェクトの上司も、アドバイスをくれる時は、教えてくれるというよりは、考えるヒントを与えてくれるという感じですね。
松家 コンサルタントには、何事にもチャレンジしてみようという精神が凄く大事だと思います。スタートアップスで、一年半かけて色々なプロジェクトや業務を経験することになるんですけど、どんなプロジェクトでどんな上司と出会うかは運次第。「合わなかったから嫌だ」と思うのではなくて、そんな状況をもポジティブに捉えられる人が良いと思います。
実は、私自身もそういう経験があるんです。そもそも戦略系の案件に携わりたくて入社したのですが、スタートアップスに所属している時にIT系のプロジェクトにアサインされたんです。正直、IT領域は最初からやりたくなくて、相当嫌がっていたんですが、取り組んでみたら物凄くハマってしまいました。上司との相性もとても良くて、一つのプロジェクトへの配属期間は、最長6ヶ月というルールがあるんですが、延長を重ねて結局8ヶ月くらいいましたね。実際に、そういうこともあるんです(笑)。最初は嫌だったけれど、スタートアップスの環境があったから、食わず嫌いをしないで挑戦ができたのだと思っています。
滑川 私は最近、コンサルティングファームを志望する学生が増えていると聞きました。いくつかの背景があると思うのですが、その一つには、「手っ取り早く色々な分野が勉強できて、成長できそうだから」というのがあると思うんです。もちろんそうした側面はありますし、その考え自体は否定することではないんですけど、入社した会社が新卒社員に対して「ある一つのプロジェクトにうまく当てはまるかどうか?」という画一的な考え方しかしなかったとしたら、本末転倒になってしまうのではないでしょうか。様々な分野への知見を養って、成長していきたいという思いがある方にとっては、画一的ではなく、多種多様なプロジェクトがあり、異なるバックグラウンドを持つ上司がいて、それぞれの教え方に触れることができるKPMGのような環境はマッチするのではないかと思います。
佐渡 コンサルティングって、自立的にキャリアを創る仕事だと思うんです。昔はコンサルティングファームに入ってそれが普通に求められたし、それができたけれど、今は容易にはできない。それゆえに、コンサルティングファームが学生の皆さんから敬遠される側面もあると感じています。そんな中でもKPMGは自立的キャリア形成を期待しているし、自分でやりたいことを見つけてほしいと思っている。そうしたコンサルティング本来の良さは維持していきたいです。
一方で、そんなに甘い世界ではないことも事実です。マーケットに向き合って、価値を出せるキャリアを自発的に築いていけないと、言い逃れはできないですからね。それでも、しっかりとバランスさえ保っていければ、自立的キャリアを形成する可能性はいくらでも広がっていきます。KPMGはそうしたコンサルティングの良さと厳しさの両方を持ち合わせていきたいし、こだわっていきたいので、こうした働き方に面白味を見出せる方には、どんどん参加していただきたいと考えています。
今日お話したこの3名はもちろん、近い将来、新卒入社の社員がマネジャーとして活躍する未来像は鮮明に描けています。コンサルティングファームのマネジャーというのはそれなりに責任があるポジションですが、彼ら、彼女らが、マネジャーとして台頭しているであろう2025年前後には、会社の文化も、“らしさ”も作ってくれていると期待しています。きっとそこまでが一番面白いフェーズでしょうね。