A. 戦略系、シンクタンク系、組織系、ブランド系、IT系などが主な日系コンサルです。それぞれの分野の主要なファームを紹介します
日系コンサルは、いわゆる戦略系と呼ばれるファームは少なく、それ以外に分類されるファームが多いです。以下、主な日系コンサルティングファームを見ていきましょう。
戦略系
コーポレートディレクション(CDI)、ドリームインキュベータ(DI)、船井総合研究所、経営共創基盤(IGPI)、山田コンサルティンググループ株式会社(旧:山田ビジネスコンサルティング株式会社)
ハッキリ言ってしまうと、大企業をクライアントとする戦略系コンサルティングファームはCDIとDIの2つのみです。なぜその他に存在しないのかというと、外資系コンサルティングファームが既に日本に十分進出しているからです。企業側としてはわざわざ日系ファームを使わずとも、よりグローバルな視点や実績を持つ外資系ファームに依頼をした方がクオリティの高い戦略を提案してくれると期待しているため、日系の戦略系ファームが育たないのです。そういった中でCDIやDIは大企業相手のコンサルティングを行っている、極めて貴重な日系ファームです。
一方、船井総合研究所は異色のファームで、中小企業を専門としたコンサルティングを行っています。中小企業へのコンサルティングについては、かつてはBCGなど大手の外資系ファームも取り組もうとしましたが、早々に撤退しています。船井総研は2013年~2015年にかけて毎年売上高を10~20億円ほど上昇させており、成長傾向にあります。
経営共創基盤(IGPI)は、元BCGの冨山和彦さんが立ち上げたファームであり、企業再生を得意としています。2015年現在は日本経済が好調になってきていますが、バブル崩壊~リーマン・ショックの頃は日本経済は冷え込み、多くの企業が経営に苦しんでいました。経営状況が非常に悪く、倒産の危機にある企業が多かったため、IGPIは企業再生の案件を多くこなしてきました。現在では企業再生の案件が売上全体に占める割合は2割ほどであり、戦略コンサルティングの案件も多く扱っています。企業再生を得意とするファームだと、主に中堅・中小企業をクライアントとする山田コンサルティンググループ株式会社(旧:山田ビジネスコンサルティング株式会社)というファームもあります。
シンクタンク系
野村総合研究所、三菱総合研究所、みずほ総合研究所、日本総合研究所、大和総研、NTTデータ経営研究所、富士通総研
日系コンサルの中でも存在感が大きいのが、シンクタンク系と呼ばれるファームです。「シンクタンク」という言葉を聞いても、いったい何をやっているのかピンと来ない人も多いのではないでしょうか?シンクタンク系ファームは主に4つの部門を有しています。(1)経済調査部門(2)官公庁向けのリサーチ部門(3)ITコンサルティング部門(4)総合コンサルティング部門 の4つです。シンクタンクとは、(1)と(2)の業務を行う組織だと考えてよいでしょう。以下、4つの部門を簡単に解説します。
(1) 経済調査部門は、主に母体となっている会社(野村證券や大和証券、東京三菱UFJなど)から依頼を受け、経済動向のリサーチ業務を行います。
(2) 官公庁向けリサーチ部門は、政府が政策を立案する際に必要となるデータのリサーチ業務を行います。
(3)ITコンサルティング部門は、ITを活用した事業戦略を民間企業相手に作成する業務を行います。
(4)総合コンサルティング部門は、経営戦略の立案や新規事業戦略、マーケティング、組織改革などのいわゆるコンサルティング業務を行います。
以上の4つのうち、(1)と(2)は従来のシンクタンクが行ってきた業務です。しかし、野村総研や三菱総研などの、シンクタンク系と呼ばれる日系コンサルティングファームでは、民間企業相手に(3)ITコンサルティングや(4)経営コンサルティングを行います。そのため、時にはアクセンチュアなどのIT系ファームと競合しますし、時にはA.T.カーニーなどの戦略系ファームとも競合します。
組織系
コーチエイ、リンクアンドモチベーション、リクルートマネジメントソリューションズ、グロービス、エーピーアイ コンサルタンツ
組織系コンサルティングファームはさまざまなファームが存在し、大手から中小まで色々な日系ファームがあります。上記のファームはどれも大手、中堅といって良いレベルですが、大きな存在感を放っているのはリクルートの子会社であるリクルートマネジメントソリューションズと、リンクアンドモチベーションの2社です。
ブランド系
博報堂コンサルティング、グラムコ、アクサム
博報堂コンサルティングに代表されるように、広告代理店系のファームが中心的存在を占めているのが、ブランドコンサルティング市場です。この辺りのコンサルティングとなると、広告代理店の業務とも近接し、大小さまざまな企業が入り乱れた業界となっています。
IT系
アビームコンサルティング、フューチャーアーキテクト、日立コンサルティング
IT系ファームは、アクセンチュアやPwCなどの外資系が日本に進出しているものの、
国内の独立系ファームも高い技術力をもって対抗しています。アビームコンサルティングはかつてデロイトグループと提携をしていた過去を持ち。最近ではNECと資本提携を行い競争力を高めようとしています(現在のデロイトトーマツコンサルティングとは関係がないので注意しましょう)。フューチャーアーキテクトも、東証一部に上場する社員数1500名以上の大企業です。外資系に押されがちな国内コンサルティング市場ですが、IT系においては日系ファームも大きな存在感を示しています。
以上が主な日系ファームとなります。他にも、金融系のGCAサヴィアンなど、他の分野のコンサルティングファームも存在します。