【例題解説付き】GDで差をつけるためのロジカルシンキング


目次

ロジカルシンキングとは?
なぜロジカルシンキングが必要なのか?
ワーク1「現在、日本にはスーツがいくつあるでしょうか?」
ワーク2「予備校に着いてから、参考書を忘れたことに気が付きました。この後取りうる行動をすべて考えてください。」

 

 ロジカルシンキングとは?

「物事を客観的に捉えて構造化し、正確な判断をするための基本的手法」をロジカルシンキングと言います。

構造化とは、「売り上げ」を「顧客数×顧客単価」に分けて考えるといったように、ある要素を因数分解して考えることです。
「企業の売上をあげたい」、「この問題の解決策を考えたい」といった抽象度の高いお題をいきなり考えようとすると、思いつきで議論が進んでしまい、本来考えるべき重要な要素が抜け漏れてしまい、効果的な解決策がでてきにくくなります。
そこで抽象度の高い大きな課題を、この事象・問題を成立させている細かい変数(因数)に分解して考えることで思考の抜け漏れを防ごうという取り組みがロジカルシンキングです。

 

なぜロジカルシンキングが必要なのか?

ロジカルシンキングは、再現性高く周囲を動かして成果を出したり、狙ったことを成し遂げたりするために使います。
この“再現性高く”ということが意外に重要です。なぜなら、偶然良い解決策やアイデアが浮かび、良い結果がでることもあるためです。しかし、その“偶然”は次回も続くでしょうか?偶然に頼らずに事象や問題の重要な要素を見抜けるようにするためには、ロジカルシンキングが必要なのです。

ビジネスの場面でロジカルシンキングは以下3つの活用方法がありますが、本記事は1と2についてのみ解説します。

  1. 情報や問題を構造的に整理する
  2. 整理した情報から結論を導く
  3. それを人に伝達して理解をしてもらう

また、日本人は世界の人種の中でもロジカルシンキングのスキルが特に低いとされています。なぜなら日本人は単一民族であり、話の行間を読むことや雰囲気を察することが容易で、言葉で説明する必要がないことも多いのです。
一方アメリカなどの他民族国家では、宗教や風習、ときには言語も異なりますから「言わないけれど察してほしい」ということができません。どのような相手でも、端的に自分の伝えたいことを言葉にしなければなりません。

グローバルに仕事をするには、ロジカルシンキング・ロジカルコミュニケーションができるようになる必要があります。
こういった意味でも、ロジカルシンキングは就職活動にかぎらず、社会人として必須のスキルだといえます。

では以下より2つのワークを通じてロジカルシンキングの実践的な使い方を解説します。

ワーク1:「現在、日本にはスーツがいくつあるでしょうか?」

このお題では、日本国内にあるスーツすべてが検討対象になっています。
すべての項目について検討できればよいのですが、グループワークには時間制限があります。答えるべき結果(この場合スーツの数)に影響度の大きい項目から順に検討していきましょう。

この場合に検討すべきは、個人が着用するために所有しているスーツの数と、スーツを販売している会社が保有しているスーツの在庫数です。
個人所有のみを検討するグループもよく見られますが、店舗の在庫数も「日本にあるスーツの数」において大きな割合を占めることが想像でできるため、多少個人所有分の計算がラフになっても、販売店舗に存在するスーツの数も考慮すべきです。

個人所有分の計算のみをどれだけ細かく分類して計算したとしても、店舗の在庫についての検討が漏れていれば、正確な値とは言えません。

今回の例題以外にも、商品の数の推定が出題された場合には、利用者が所有している分だけでなく、生産・販売側が所有している分についても検討すべき場合が多くあります。

一方、流通業者が一時的に保有するスーツや焼却処分するスーツ等も現実にはあると考えられますが、これらは省いて考えても「日本にあるスーツの数」の概算は大きく変わらなさそうです。
こういった項目は、1時間のワークであれば検討しても良いですが、就職活動においてそのようなワークはまれだと思いますので、今回は「個人所有」と「販売店舗の在庫(法人所有)」について考えようと思います。

ロジカルシンキングの極意 1
1要素を緻密に計算するよりも、お題に対して影響度の高い要素の検討漏れがないかをチェックする

 

●個人が所有するスーツの数の計算方法

スーツを着用する人は主に、20代以上の男女です。
さて、「20代以上の男女」をあなたならどのように分類して考えますか?
20代、30代、40代とそれぞれ年代と男女で分けて考えるでしょうか。

たしかにこれでもMECEな分類方法ではあるのですが、あまりうまい考え方とはいえません。
30代も40代も、同じサラリーマンであれば持っているスーツの数はそこまで大きく変化しないからです。
所有しているスーツ数は、年代よりも、職業によって大きく変化しますよね?そのため今回のお題では、「20代以上の男女」を職業に寄って分類して考えることが肝となります。

よくある間違いとして、ロジカルシンキングではとにかく「MECEにわける」ことだけが重要なのだ、と認識している方がいますが、これは間違いです。
ロジカルシンキングのカギは、「その課題解決や目的に合わせて、適切なMECEとなる切り口を見つけられるか?」です。

ロジカルシンキングの極意 2
その課題解決や目的に合わせて、適切なMECEとなる切り口を見つけられるか?

非常に重要な点であるため、例を出します。
あなたの部屋に洋服が散らかっているとしましょう。そこであなたは4段のタンスを購入しました。どのように4つのタンスの棚を使い分けますか?別の言い方をするとこの問は、散らかっている洋服をどのように4つに分類するか?という問題です。

色んな分類の仕方がありますね。上から棚ごとに、白、黒、青、その他、というように、“服の色”でしまう棚をわけることも可能です。
この色で棚を分ける方法もMECEなのですが、果たして多くの人にとってベストな分類方法でしょうか?違いますよね。
なぜなら、洋服を4つに分類する目的を考えると、色で分ける意味がないからです。

どうせ棚ごとに洋服を4種類に分類するなら、普段服を着るときにタンスが使いやすいように、上着、パンツ、下着・靴下、その他、というように、“服の種類”ごとにタンスをワケたほうがいいわけです。
もちろん、“多くの人にとって”と前述したとおり、“服の色”でわけることが非常に重要な状況やニーズがある場合には、その分類方法も正解になり得ます。

このように、「いま直面している課題や状況に応じて、適切な切り口は何か?」を見つけることがロジカルシンキングの難しさです。
MECEに分けること自体は非常に簡単なため、MECEに分類できるようになったからロジカルシンキングはマスターした、などと思わないようにしましょう。
(そもそも、戦略コンサルタントはロジカルシンキングを駆使して数千万円のフィーをクライアントからいただくのですから、そんな簡単にマスターできるわけないのですが、、、笑)

間違った分類をしないためにも、ワークのはじめにお題の条件の確認や、なぜこの課題を持っている人はどんな状況にいるのか?といった状況分析を行ったうえで、課題に取り組みましょう。

今回の個人所有のスーツの場合、
・働いているか否か
・毎日スーツを着用する仕事かどうか

によって所有数が変わってくることが想像できます。

以上より、今回は

  1. 学生
  2. 労働者(→スーツを着る仕事か否か場合分けする)
  3. 退職者

に分けて考えます。

1. 学生

学生の中でも、スーツを持っていそうなのは大学生です。
日本の年代別人口で、20~64歳はおよそ7500万人。
この間に存在する50年齢に等しく人口が分布していると仮定し、大学1~4年生・大学院1~2年生が基本的にスーツを所有していると仮定すると
6/50 = 12%くらいが大学生かなと予想します。

大学生の人数:7500万人×12% = 900万人

大学4年生、院1年生が1人1着スーツを持っているとすれば、学生が所有するスーツの数は900万着です。

2. 労働者
1.学生の計算から、労働者20~64歳の人口から大学生の人数として出した数を引けばよいので、

7500万人-900万人=6600万人

時間が短い場合は、6600万人×平均スーツ所有数 で求めても良いのですが、15分程度のワークであれば、毎日スーツを着る仕事に就く人がどのくらいの割合いるのか?という点も検討すべきです。
なぜなら、野菜を作っている農家の人と、商社で営業をしている人とでは、どう考えても持っているスーツの数が違うからです。
産業部門別の人口を知っていれば文句なしですが、わからない場合も、おおよその数を推論して計算してみましょう。

第一次・第二次産業に就いている人は、冠婚葬祭用も合わせて2着/人、
第三次産業に就いている人は5着/人程度持っていると仮定します。
全就業者のうち、第三次産業の就業者が約70%を占めているため、

第一次・第二次産業就業者のスーツ所有数:6,600万人×30%×2着/人 = 1,980万人×2着/人 = 3,960万着
第三次産業就業者のスーツ所有数:6,600万人×70%×5着/人 = 4,620万人×5着/人 = 2億3,100万着

 

以上より、労働者が持っているスーツの数は

3,960万着+2億3,100万着 = 2億7,060万着

と計算できます。

 

3.退職者
老年人口(65歳以上)は全人口の約30%(3500万人程度)です。
社会人時代に「毎日スーツを着用する仕事に就いていた人」と「そうでない人」の割合を2. 労働者で考えたとおり7:3だとすると
7割の人が5着所有し、3割の人が2着所有しているため、退職者のスーツ所有数全体平均は4着(4.1ですがわかりやすくするため四捨五入)となります。
そのため退職者全体のスーツ所有数は

3,500万人×4着=1億4,000万着

となります。

1、2、3を合計し、個人が所有するスーツの数は、

900万着+2億7,060万着+1億4,000万着 = 4億1,960万着

となります。

 

●法人が所有するスーツの数

店舗が供給するスーツの数は、一定サイクルにおける個人消費の需要量に等しいと考えます。
第三次産業の就業者が1年間にスーツを1着購入するとし、それ以外の層(学生、第一次・二次産業就業者、退職者)は1年間に0.2着購入する(5年間で1着購入)と仮定します。
それぞれの人口に1年間の購入数をかけあわせると

第三次産業就業者:4900万人×1着/人 = 4,900万着
学生:300万人×0.2着/人 = 60万着
第一次・第二次産業就業者:2100万人×0.2着/人 = 420万着
退職者:3,500万人×0.2着/人 = 700万着

以上より、法人が抱えているスーツの数は、

4,900万着+60万着+420万着+700万着=6,080万着

と計算できます。

 

よって、日本にあるスーツの数は、個人所有と法人所有を合計して

4億1,960万着+6,080万着=4億8,040万着

となります。

 

上の解説では、年代別人口や産業部門別就業者数など、いくつか推論ベースではなく知識として知っている前提で使用しているものがあります。
このようなフェルミ推定で頻出する数字を覚えておくと時間を短縮でき、実際に近い値を求めることができるため、大体の数値で良いので覚えておくと良いでしょう。【全45問】いくつわかる?フェルミ推定攻略に重要な数字一覧を参考にしてください。
わからない数字を推測しなければならない場合は、自分の知っていることや共感できることから広げて考えましょう。単なる当てずっぽではなく、根拠をもった推論にすることがポイントです。

 

さて、ワーク1を通して、良い切り口を見つけることがいかに重要か体感していただけたのではないでしょうか。
MECEになる分け方はいくらでもありますが、その中から目的や状況に合わせて適切な切り口を選択する必要があります。
この「適切な分け方」を身につけるため、もう1つトレーニングをしてみましょう。

 

ワーク2:「予備校に着いてから、今日使おうと思っていた参考書を自宅に忘れたことに気が付きました。この後取りうる行動をわかりやすく分類して考えてください。」

一度、ご自身でどのように分けて行動を挙げていくか考えてみてください。
ロジックツリーを使って考えてみると良いでしょう。物事を複数の要素に分けてそれぞれMECEになるよう考えるときに便利な枠組みです。
抽象度の高いものと具体的なものとに分類して整理していきます。
さて、参考書を買う場合と買わない場合、先生や友人を頼る場合と頼らない場合…さまざまな切り口が浮かんだのではないでしょうか?

これから、解答例を示しながらポイントを解説していきます。

 

大本の切り口として、「勉強する」場合と「勉強しない」場合とを考えられましたか?先に述べた通り、「そもそも思考」を繰り返しましょう。
ロジカルシンキングの極意 3
前提を飛ばしていないか?しつこく「そもそも思考」を繰り返す

「勉強する」場合の切り口は、

参考書が持つ機能(勉強の補助)を代替するのか→「参考書」という物体を代替するのか→「自宅にある、自分の参考書」でなければならないのか、「なんでもよいから参考書」を手に入れたいのか
という順で分けています。
このとき、「参考書を使う」場合から直接「友人に参考書を借りる」と「自宅に参考書を取りに戻る」を羅列してはいけません。
なぜなら、両者が指す「参考書」は別物だからです。「参考書」という物体を確保するための手段として「自分が持っている参考書」に対してのアプローチ(my bookに対するアプローチ)と、「それまで自分が持っていなかった参考書」を手に入れるためのアプローチ(one of booksに対するアプローチ)とでは、主語が異なるため、これらは別の切り口として分けたほうが整理しやすいです。

ロジカルシンキングの極意 4
切り口の主語をそろえると、ロジックツリーの階層ごとの抽象度が揃えられわかりやすい

 

このようなワークが出題された場合に面接官、選考官に見られるポイントは、上で挙げたようなポイントを意識して、切り口を工夫して意図的に全体を網羅できているかという点です。
選考において数多くの方法を挙げることが重要なわけではないので、
ツリーの末尾(具体的な手段)を必要以上に掘り下げる必要はありません。
また、切り口が分からない・どこから着手すべきかわからないという場合には、まずはボトムアップ式で考えても良いでしょう。
(基本的に人間の脳はは具体的な事象の方が考えやすくなっています)

ボトムアップ式とは、先に抽象的な切り口を考えるのではなく、「参考書を友人に借りる」「先生に質問する」といった、具体的な手段を思いつくものから挙げていき、それをもとに切り口を考える手法です。

ボトムアップで考える場合は、
グループで具体案を出す

→ 出たアイデアをグルーピングする(「先生に聞く」「友人に聞く」「ネットで調べる」⇒「参考書を使わない方法」としてまとめられる)

→ グループの漏れがないか確認するため、グループを横に広げて再考する(「参考書を使う方法」と「参考書を使わない方法」のグループができた⇒どちらも勉強することを前提としているが、「勉強しない」グループもあるはずでは?)
といった流れで進めてください。

ロジカルシンキングの極意 5
切り口が分からなかったらボトムアップで考え、グループ化していき抽象度をあげ、漏れがないようにヨコに広げる

 

具体案としては出てこなかった事柄が、抽象度をあげた別の階層になった途端に思いつくことがよくあります。
たとえば、「活躍する社会人にとって必要な要素は?」という問いがあった際に、「プレゼンがうまい」、「リーダーシップがある」、「熱意がある」・・・などといったことが上がったとします。
前の2つは「スキル」に関するグループで、3つ目は「マインド」に関するグループだな、と分類できたとして、これでもう十分かな、漏れはないかな、と確認したいとき、心技体、というフレームワークを知っていると、「あ、体(フィジカル)に関する要素が抜けているな」と気づくことができます。
一般的に皆さんが「活躍する社会人」といわれても頭のなかに、「体力がある」、「寝なくても平気」などといった要素がでてきづらいのですが、このようにブレインストーミングからのグループ化や、フレームワークの活用によって思考の漏れを防ぐことができます。

まとめ:実践を積んで、状況に応じた分類が素早くできる力を身につけよう

これまで、ロジカルシンキングの1番のカギである、状況に応じた分類をするためのポイントをお伝えしました。

ですが、この分類ができるようになるためには、実践を繰り返すことも必須です。解答・解説を見て理解できることと、自分で問題を解けることは別物だからです。自分で適切な分類を思いつけるようになるためには、さまざまな題材に触れ、自分の頭で0から考える経験を多く積むことが何よりの近道なのです。
日ごろから物事を分類するクセをつけることももちろんですが、“もっとうまい分類方法はないのか?”という確認をするために、うまく分類できる方、慣れている方からフィードバックがもらえる場としてイベントやセミナーにも参加することをオススメします。