はじめに
FactLogic会員限定でケース面接問題集を公開しています。本記事はローランドベルガーの過去問解説で、元戦略コンサルタントの解説を元に作成致しました。
※ケース問題の回答は1つではなく、本回答は一例にすぎません。
問題
百貨店の売上向上施策を提案しなさい。
■おすすめの回答方法
- 5分間で1度結論を出す
実際のケース面接では5分程度で答えを出さなければなりません。
- 20分間でより説得力のある回答になるように、じっくり考える
- 回答例を確認する
考え方
与えられた問題の解釈(問題の定義)
日本国内のある程度名が知れている百貨店を想定する。なぜなら、与えられた問題文では特にどの店舗か、またどの会社などかが明記されていないため、いわゆる世間一般で「百貨店」と言われたらでてくる「三越」、「伊勢丹」などの有名店を想定することが自然だからだ。
また「売上向上を目指す」という部分でも、特に売り上げのパーセンテージや期間なども言及されていないので平均的な中程度の2-3年を想定して考える。
売り上げ規模については、既存のオペレーションの改善に寄るよりは、新規の視点で多少ドラスティックに業務を変えることを目的とする。なぜならここでは知識のないサプライサイドよりは、聞かれている自分たちがユーザー視点で、どのような潜在ニーズを満たすか、という点で解答を見出すほうが解決案に近づく可能性が高いからだ。
最終的なアウトプットとしては、売上向上施策について述べることになるが、その背景となる百貨店全般の現状を客観的に整理して理由付けがされるよう意識して発表する。
またコンセプトだけで終わらず、時間があれば具体例を挙げ、掘り下げて考えた案も主張したい。
百貨店という業態の現状・今後の見通し
全体の展望としては、小売業全体がショッピングセンターなどの大規模化と、消費活動全体がEC化という大きな流れに加え人口減少で需要が減少する中、訪日外国人の買い物需要で何とか現状を保っている状態。しかし、IT化の進展や個人の嗜好性の多様化なども進む中、抜本的に何かを変え新業態にシフトする必要に迫られている。
<百貨店の現状>
■マイナス面
- 小売業全体のオンラインECへのシフト
- 外国人、特に中国人による爆買いの減少(コロナの影響を含む)
- 日本経済全体の需要不足と緩やかな減少
- 大規模化するショッピングセンターへの顧客のシフト
- 個々のニーズの多様化によるブランド志向からの脱却
- IT化の流れに乗っているとは言い難い
…etc
■プラス面
多少高価でも、本物をちゃんと買える安心感(特に外国人)
- グローバル化による訪日外国人の増加(コロナ前まではずっと右肩上がりだった)
- ワンストップでブランド品がそろっている利便性
- お中元やお歳暮などは百貨店の包装紙が今でも重要
- 年配の方や富裕層に対しては信頼がある(外国人も含む)
- 接客サービスの「おもてなし」のレベルの高さ
- ステータスが高い自社クレジットカードを持っている
…etc
以上より、
<ボトルネック> *インパクトの大きなもの
- 人口減による需要減
- 来日外国人数に対する不安
- IT社会へのシフトへの対応
- 世の中のニーズの多様化(ブランド離れ)
<持っている強み> *活用したい
- ブランド品揃えと店舗としてのブランド
- 富裕層の顧客(可処分所得の多いシニアなど)
- おもてなし
➡ここから事業機会を見つけていく
※POINT
業界分析は全体像から具体的な要素の順番で考える。全体像の把握がないまま個別の要素を見てもそれぞれの関連や重みが分からないので実情が理解しにくくなる。
詳しくは、姉妹メディアGoodfindにて開催中の「ロジカルシンキングセミナー」で解説している。
※POINT
マイナス面だけを上げるのではなく、富裕層からの信頼やブランドといったポジティブなところも同時に把握し、両方を見ながら強み・弱みを踏まえた検討をする。
※POINT
売上の構成単位への分解や、単価と数量の掛け算の因数分解は現状の理解には必ずしも貢献しない。
フレームワークは分析の視点を可視化したツールであり、その対象や視点により理解する側面が変わるため、ケースバイケースでその時の必要な情報に合った最適なものを選ぶ必要がある。
まとめ
今回はローランドベルガーで過去に出題されたケース問題を紹介しました。ケース問題は何度も練習することが重要です。ぜひ他のケース問題にも取り組んでみてください。