A. ファームによっては、内定者の9割が大学院生(理系)という状況です
結論から言うと、トップクラスの大手戦略コンサルティングファームにおいては、内定者の大半が理系の大学院生です。理系院生が内定を多く取っていく理由は、大きく分けて2つ考えられます。
1つ目の理由は、理系院生は日ごろからロジカルに思考をすることが大学院の研究で求められているため、論理的思考の能力が高いというものです。そもそも理系の大学院に進学したということは、多くの場合卒業した学部も理系学部であり、数学や物理学、化学などの学習を4年以上継続的に行ってきたことを意味します。もちろん、大学院でケース面接の解き方やフェルミ推定の解放について研究をしているわけではないため、院生であろうとコンサル用の対策は必要です。しかし、あくまでケース面接は論理的思考力を見るための素材でしか無く、そもそもロジカルに考えることが出来ない人は対策をしても能力のなさを見ぬかれてしまいます。某戦略トップファームに内定した人によると、選考の中で行われるインターンやジョブは2~3日ほど続くため、しっかりとロジカルに考える能力が身についている人でないと途中でボロが出てしまうそうです。つまり、小手先のテクニック(既存のフレームワークの丸暗記など)だけでは選考を乗り切ることは出来ないですし、普段から論理的思考を実践している人に対して優位に立つのも難しいといえます。理系院生は日々の学習の中で、間接的ではありますがコンサルに必要な能力を身につけるトレーニングをしていると言ってよいでしょう。
2つ目の理由は、採用側にも「理系院生ならロジカルな思考ができる」という思考のバイアスが存在する可能性があるというものです。新卒採用をする以上、主に地頭の良い学生を採用していると考えられます。したがって、本来ならば学歴に関係なく頭が良い学生を採用しているでしょうし、面接官としても恐らく学歴ではなく地頭の良さで評価したいと考えているはずです。しかし、面接官も人間である以上、「東京大学の大学院で◯◯を研究しています」と自己紹介する学生を見れば、この学生は優秀なのだろうなという思いを抱いてしまうでしょう。そのような思いを抱いてしまうと、選考のグループワークの際に他の学生とそこまで差が無かったとしても、「他の学生ではなく理系院生の彼に内定を出そう」という判断になってしまう恐れがあります。また、過去の採用実績から考えると、採用した理系院生がコンサルタントとして高いパフォーマンスを発揮しているため、理系院生を採用することは悪い選択ではないという考えもあるでしょう。
正直なところ、なぜ理系院生に内定が集中するのかのハッキリとした理由は分かりません。しかし、「内定を得るためには理系の大学院に行けば良い」という判断は誤りだといえます。理系の大学院に進学したことと、コンサルで内定を得ることの間には、「相関関係」はあっても「因果関係」はないと考えられるからです。論理的思考に長けた大学生が集まるのが大学院という場であり、そこに所属している人たちは学部生の頃からコンサルに内定をもらえるような高い能力を有していたと考えるべきです。因果関係と相関関係とを混同しないよう注意しましょう。
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