A. そんなことはありません(笑)むしろコンサルタントには「人間力」が求められます。
コンサルタントというと、冷徹で血も涙もない、カネに群がるビジネスマンというイメージがあるかもしれません(言い過ぎでしょうか…)。こういったイメージがあるのは、具体的なコンサルタント像が描けていないのが原因だと思います。実際のコンサルタントの仕事について知れば、そんな恐ろしい誤解も解けるのではないでしょうか。
■現場の人間と共に涙を流すコンサルタント
経営コンサルタントの仕事は全社戦略や組織改革などいくつかありますが、その中に「企業再生」というものがあります。企業再生とは、ほとんど破綻状態にある企業をなんとか立ち直らせることだとイメージしてください。そのままだと完全に経営破綻してしまい、会社を消滅させることを選択しなければならないほど追い込まれた企業に対して、再生のためのコンサルティングを行うのが企業再生コンサルティングです。
あるコンサルティング会社の事例を紹介しましょう。某企業X社から企業再生を依頼されたコンサル会社Aは、調査の結果、企業を消滅させずに(法人格を残したまま)なんとか存続させるためには、大規模なリストラをしなければならないという結論に至りました。事業を縮小しリストラを行うということは、多くの社員が職を失うことを意味しています。担当のコンサルタントにとっても楽しい仕事ではなく、現場の職員のもとに自ら出向いてリストラを説明し、涙ながらに職員たちと話し合いを行いました。彼らに厳しい再生案を納得してもらうためには、真摯に再生内容や企業の窮状について語らなければなりません。その仕事をこなせるのは他人のために泣き、他人のために怒れる心をもった人間だけでしょう。仮にこのコンサルタントが、人の痛みを理解できない冷徹な人間であれば、現場の理解も得られず再生案も実行できなかったでしょう。
■論理や分析よりも大切なこと
コンサルタントが冷徹であるというイメージの原因として、「論理的」であることも挙げられるかもしれません。もちろん、論理的であることはビジネスにおいて非常に重要ですし、コンサルタントを目指すには必ず身につけなければならないスキルの1つです。しかし、論理的であるあまり、感情を無視して理屈のみで物事を語る人も確かに存在します。論理的で理屈が通っている「正論」を並べ立て、相手の感情を無視する人というのは、コンサルタントに限らず他の職業の人間にも見受けられます。
では、コンサルタントの多くがそういった感情を無視した理屈人間なのでしょうか?答えは「NO」です。むしろ、そのようなコンサルタントは「無能」の烙印を押されても仕方がありません。なぜなら、コンサルタントの仕事とは正論をただ相手にぶつければよいというわけではく、自分たちの提案をクライアントである相手方に「納得」してもらう必要があるからです。相手の立場に立ち、相手の感情を推し量ったうえで、論理的な分析に基づいたコンサルティングを行う人こそ、優秀なコンサルタントだといえます。
A.T.カーニーの日本代表を務める岸田雅裕さんは、論理や分析に長けているだけではクライアントからの信頼を得られるコンサルタントにはなれないと主張しており、人間力の大切さを強調します。著書の『コンサルティングの極意: 論理や分析を超える「10の力」』は、コンサルタントが本当に大切にしければならないことを岸田さんの体験談も交えて書かれた本であり、読んでみるとコンサルタントへのイメージが変わるはずです。
まとめると、コンサルタントは相手を納得させることが求められる職業であり、人間的にも優れていなければなりません。コンサルタントの中には確かに性格が悪い人もいるでしょうが、それは他の職業でも同じことですし、そういったコンサルタントは評価されないので姿を消していくでしょう。
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