企業や組織の壁を超えて、社会全体の競争力を取り戻す。
BCGパートナーが語る、企業と組織の未来【コンサルタントの道 vol.13】

sponsored by ボストン コンサルティング グループ

ボストン コンサルティング グループのパートナーとして、国内外のクライアントのコンサルティングのみならず、ファームの経営責任も背負う植田和則さん。

純粋にクライアントに高い価値を提供したいという想いと、能力や才能など「恵まれている部分があれば社会に還元すべきである」という自身の価値観は、BCGに受け継がれるカルチャーにつながっていると言います。

連載「コンサルタントの道」第13弾では、そうしたBCGのカルチャーに加え、植田さんがどのような経験を通じて自身の能力や才能を開花させてきたのかを語っていただきます。また、今後のファームの展望などについても話を伺いました。

目次

プロフィール
脈々と受け継がれるカルチャーが示す、BCGらしいコンサルティングスタイル
日本の製造業をなんとかしたい。学生時代の問題意識からスタートしたキャリア
若手時代のシビアな経験の積み重ねで養われた、経営を支える力
コンサルタントとして信頼関係を築くために身につけるべき、ロジカルコミュニケーションの本質
クライアントの興隆と次世代への還元こそ、次の10年で果たすべき役割
優秀な人材を輩出し、あらゆる形で社会に貢献する開かれた組織
未来を見据え、個の才能を最大限開花させる選択を

プロフィール

植田 和則 (うえだ かずのり)さん

ボストン コンサルティング グループ
マネージング・ディレクター & パートナー/京都オフィス

東京大学大学院(工学系研究科/航空宇宙工学専攻)卒業後、2007年に新卒でBCGに入社。2018年1月より現職。BCGハイテク・メディア・通信グループ、およびコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。東京/京都/ウィーンオフィスにて、電機、FA機器、輸送機器等製造業、及び消費財等幅広い業界の企業に対し、トランスフォーメーション、ビジネスモデル変革、ターンアラウンド、新規事業開発等のプロジェクトを数多く手掛ける。

脈々と受け継がれるカルチャーが示す、BCGらしいコンサルティングスタイル

 ──まず初めに、BCGのファームとしての特徴や組織カルチャーについて教えてください。

BCGが掲げている“Unlock the potential”は、まさに当社を象徴する言葉であり、私がBCGにいる意味を表す言葉でもあります。

未来の可能性を信じ、リスクをとってチャレンジするのが経営者だとしたら、そうした経営者に寄り添い、共にその可能性を引き出すのがコンサルタントの役割です。また、コンサルタントはある意味ものすごく物事をpositiveに考える人たちであり、未来のことがわからない不確実なビジネスの世界でポテンシャルやチャンスを見出し、世の中が変わる可能性を信じて取り組む人たちだと言えます。

もう少しかみ砕いてお話しすると、BCGのカルチャーは「競争戦略」がベースになっています。創業した60年以上前には、すでにマッキンゼーなどいくつかのファームが存在していましたが、そのほとんどは組織や会計のコンサルティング中心で、戦略のコンサルティングというのはかなり突飛なものでした。「戦略はクライアントが自分たちで考えるべきことだ」とされていた時代に、敢えてその戦略の課題解決をすることを専門にした会社として創業しました。

そのようなDNAは今も脈々と組織に受け継がれています。あらゆる可能性がある中でそれを勝ち取りにいく、あるいは社会に効果的に価値を届けるためにどういう存在になればいいのか?という視点で戦略を描く。これらをしっかりと実現していくことこそ、“Unlock the potential”の本質だと考えています。

コンサルタントは企業のトップと一緒に、5年先10年先、もしくは目の前の喫緊の課題を解決するためのアジェンダに取り組む立場なので、使い古された一般的な解決策を示して終わりにすることはできません。クライアントは相当難しい課題に直面し、悩みに悩んだ末に「これはBCGに頼まないと解決できない」とご相談いただく案件がほとんどなので、何か面白いことや今までにないアプローチを模索していくというのも、PotentialのUnlockだといえます。

──企業のコンサルティング以外にも、BCGが携わっている特徴的な案件はありますか?

最近はコロナ禍でロケーションフリーになり、移動の必要がなくなったことで、より一層海外とのコラボレーション案件が増えています。グローバル志向がある人にとってチャレンジの機会は豊富にあります。

また、ファームとして経済産業省と一緒に日本の中長期ビジョンの検討をしたり、教育のあり方を再定義して、長期間に渡り実証実験をおこなったりしながら、社会全体に対しても価値を届けています。他にも、昨年あたりから話題になっているカーボンニュートラルというテーマで、環境省と共に取り組みを進めたりもしています。更には、企業だけではなく、NPO/NGOや地方自治体、大学や大学病院などに向けたコンサルティングも長年に亘って続けています。

そうして国や省庁、各団体とも連携しながら社会の枠組みづくりをおこない、日本を支えて良い方向に導いていくための貢献も、BCGが担うべき大事な役割です。

日本の製造業をなんとかしたい。学生時代の問題意識からスタートしたキャリア

──植田さんの学生時代のお話や、BCGに入社を決めた理由についてお聞かせください。

私は大学時代、工学部に在籍し航空宇宙工学を勉強していました。周りは三菱重工やJAXAに就職するような人ばかりで、私も大学院まで進みメーカーや研究者の道を模索していましたが、個人的には日本の製造業全体の将来性・先行きに一抹の不安も覚えていたんです。

ただ冷静に考えると、とある企業に就職して一技術者としていくら頑張っても、業界全体への影響を及ぼすことには程遠いとも感じていました。そんな時にたまたま「外資のコンサルティングファームが早くから採用活動をしている」と聞き、選考を受けたのがBCGでした。何をする会社なのかもよく分からないままインターンに参加し、コンサルタントの話を聞いて、ようやく自分の問題意識に通じる部分があるのを感じました。

当時はリーマンショックで世界が大不況に陥る少し前で、日本を代表するメーカーが次々と大赤字を出し、「本当に大丈夫なのか?」と騒がれていた頃です。そうした状況を目の当たりにし、私は「日本がしっかりと強く豊かな国であるためには、製造業が強くなければいけない」という想いを抱きました。

「これから十年~数十年先、製造業全体がどんな状況になっているかわからない」、そうした危機感に対して「もっと早いタイミングで、自分が何かできるかもしれない」という可能性を感じました。自分の将来のキャリアがどうなるかわからないのなら、「人生一度切りだし、BCGでチャレンジしてみよう」と決意し、そのまま他の選択肢は検討せずに入社しました。日本の製造業を支えるという観点において、BCGは非常に恵まれた環境にあるので、いまでも良い選択をしたと思います。

そうして企業や組織の壁を超えて、自身の経験を本当に必要としている人に届ける。これこそがコンサルティングの仕事であり、まさに私自身がBCGに入って良かったと思っているところです。

若手時代のシビアな経験の積み重ねで養われた、経営を支える力

──これまでのキャリアのなかで、ご自身の支えとなっているようなご経験について教えてください。

私は入社5年目で、プロジェクトをリードしてクライアントの前に立つマネージャーとなり、10年経たずしてパートナーになりました。現在はBCGの経営とクライアントの成功に全責任を持つ立場です。

メガバンクの投資銀行部門の戦略や、海外の鉱山企業の全社変革、コングロマリット企業のDXなどこれまで様々な案件に携わってきましたが、その中でもアソシエイト/コンサルタントの頃に1〜2年ほど携わった、とあるメーカーのターンアラウンドは相当大変なプロジェクトでした。

構造的な理由で事業が立ち行かなくなっている厳しい状況の中で、「どのように事業を存続させていくのか」「お客様や販売した商品のサポートはどう続けていくのか」など、必要な経営判断をするためにシビアな議論を重ね、経営者が意思決定を下す瞬間にも立ち会いました。

また、経営者が正しい意思決定をできるように、自分が現場に足を運び、必要な情報を収集してつぶさに状況を報告する過程では、「会社は何のために存在しているのか」「なぜこの商品を売るのか」「オペレーション体制をどうすべきなのか」という問いに直面し、真剣に考える機会もありました。

そのような、企業にとって10年、20年に一度の重大な決断を迫るターンアラウンドに何度も携わったことで、若くしてかなりの経験が蓄積されたのだと思います。その結果、大局的な動きとミクロの現実との間で、「ターンアラウンドの先に何を考えなくてはいけないのか」「企業がどういう意思決定を下すと良い結果に結びつくのか」というところまで、価値を届けられるようになりました。

その後、別のメーカーの案件に携わった際には、これまで積み上げてきた経験を活かし、組織がすごく良い方向に変わっていきグローバルで必要とされる存在になったのを目の当たりにして非常に手応えを感じました。

コンサルタントとして信頼関係を築くために身につけるべき、ロジカルコミュニケーションの本質

──植田さんはコンサルタントに求められるロジカルさを、どのようなものだと考えていますか?

私は、ロジカルに思考して答えを見つけることと、案件に関わる人がその答えに腹落ちし動きやすくするためのコミュニケーションを設計することは、同じくらい時間をかけるべきだと考えています。なぜなら、私たちは同じものを見て同じ言語で話していても、それぞれの世界観で物事を捉えているからです。

また、人間には個性や相性があるので、反りが合わずに齟齬が生じることもあります。答えが何かを考えることと、相手にとって効果的なコミュニケーションを考えることを完全に切り分けているのは、相手目線でロジカルさを担保するためです。

人間がコミュニケーションで用いる言語は、そこまで厳密に定義が一致していません。そうした前提に立ち、「相手の世界観でどういう風に解釈されるのか?」「相手に伝わりやすくするためには、どのように話を組み立てれば良いのか?」を考えることこそ、信頼関係を構築するための第一歩であり、ロジカルさだと考えています。

複雑な因果関係の中でロジカルに思考して「きっとこうなるだろう」と正しい答えを導き出したとしても、そのままそれを伝えてしまっては、聞き手は「そんな複雑な話をされてもすぐに理解できない」という状態になってしまうことがあります。私の考えるロジカルな人とは、そういう複雑な事象のポイントを抽出して、簡便にわかりやすく伝えられる人のことです。

つまり、複雑な世の中のメカニズムを洞察した上で、正確な答えを予測するロジカルさと、それを分かりやすく相手に合わせて伝えられる、コミュニケーションにおけるロジカルさ。この両方が身についてはじめて一流のコンサルタントだといえるでしょう。

クライアントの興隆と次世代への還元こそ、次の10年で果たすべき役割

──植田さんが「これから10年で成し遂げたい」と考えていることについて教えてください。

ノブレス・オブリージュという概念がどれだけ日本で浸透しているのかわかりませんが、シンプルに自分自身の能力や才能など、「恵まれている部分があれば社会に還元すべきである」というのが、私の価値観のベースにあります。それを果たすことが、私にとって最大の喜びです。

コンサルタントとして長年仕事をしていれば、社内外に戦友がどんどん増えていきます。あと5年もすれば、一緒に仕事をしてきたクライアントのキーマンたちが責任ある重要なポジションに就き、組織を率いて物事を決める立場になるので、その方たちの期待に応えていくことが大事だと思っています。10年後には、さらに次の世代へ良い形でつないでいけるような状態を作っていくことが理想です。

またパートナーになると、個の成長よりも、チームや組織の成長に力を注ぐ方が、社会全体に届けられる価値のレバレッジが大きくなるので、チームや組織の成長に重きを置いています。優れた問題解決スキルやコミュニケーションスキルをもった後輩を多く育て、自分の後継者を輩出していきたいですし、その人たちがジュニアのメンバーを一人前に育てられるようにするためには何ができるのかを、日々考えています。

若手時代は苦しい局面をなんとか乗り切るという案件が多かったですが、今はその先を見据えて、「どうすれば世界で本当に尊敬される会社を増やしていけるか」を考えながら仕事をしています。私の経験を本当に苦労して悩んでいる人に伝えて、社会に還元し続けるということが、自分が果たすべき一つの使命だと考えています。

──日本の事業会社については、どのような見解をお持ちでしょうか?

個人の見解ですが、一線級の日本企業の多くは社会のインフラになっている印象です。かつて最先端だったソニーやパナソニックのような企業は、常にイノベーションを起こし続けて新しい技術で新たな商品を生み出す存在でした。そのうち業界自体がインフラ化し、日本企業もある種のインフラとして定着したのだと考えています。安定性や効率性を追求していく方が社会で生き残りやすく、世の中にとっても最適な選択だったのでしょう。その反面、進化はしているものの、イノベーションが生まれにくい構造の企業が増えているような気がします。

一方で、世界全体ではイノベーションが起き続けているので、日本経済全体の活性化のためには、その中で活躍できる企業をどれだけ増やせるかどうかが重要です。ただ悩ましいのは、デジタルやバイオテックなどの領域で世界と戦えるほど強い企業が日本には多くないということです。

逆に、電子部品のパーツや製造装置などの領域は、依然として強いポジションを維持しています。企業がより競争力を高めて、イノベーションを起こし続けていくことは、日本全体が競争力をつけていく上でも重要です。

個人としては日本のメーカーのイノベーションを世に残していきたいという想いがありますし、BCGとしても日本企業の競争力を高めていくことをやっていきたいと思います。そうして、日本の製造業全体が50年後も100年後も高いレベルで存続している状態を実現できればと考えています。

優秀な人材を輩出し、あらゆる形で社会に貢献する開かれた組織

──最近はコンサルタントのキャリアを短いスパンで考えている人もいますが、植田さんはどのように感じていますか?

BCGのコンサルタントになると、基本的な思考モデルやコミュニケーションのプロトコルを若いうちから徹底して叩き込まれます。多くのコンサルタントの試行錯誤により体系化されたモデルなので、ロジカルシンキングや高い生産性はもちろん、洞察力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力、他にも色々な人とコラボレーションする力など様々な能力が身につきます。スピード感も速く密度の濃い経験ができるので、3年ほど過ごせば相当鍛えられることは間違いありません。人によっては、ベンチャー経営を担えるぐらいの実力はつくでしょう。

BCGから優秀な人材を世の中に多く輩出し、あらゆる形で社会に貢献することは極めて大事なことだと考えているので、当社を経験した人材がBCGを卒業して社外で活躍することはウェルカムです。私たちがオープンに開かれた組織であることにより、BCGを知り集まってくれる方もいるでしょうし、卒業生がクライアントになることもあります。そういう好循環が生まれるように、いいバランスを模索していきたいですね。

未来を見据え、個の才能を最大限開花させる選択を

──最後に学生の皆さんへ、メッセージをお願いします。

コンサルタントには、特定の業界や領域で起こった世の中に偏在するイノベーションや蓄積された経験・知見、また仕事の進め方・経営の仕方・戦略の考え方などを、きちんと広めていくという社会的ミッションがあると私は考えます。

就職活動にあたって学生の皆さんに考えてもらいたいのは、「一体何のために成長したいのか?」「何年後にどういう存在になっていたいのか?」「どういう状態で、何ができるようになればいいのか?」「それを目指すこと自体に本当に意味があるのか?」ということです。それらの問いに対してそうして自分なりに納得できる答えが見つかったら、きちんと言語化し、ギャップを認識した上で、どういう活動・企業選択をすればいいかを考えていくのが良いでしょう。まずは自分自身にとっての成長を具体的に定義するところから始めるのがよいと思います。

コンサルタントになってからも、無理に「プロフェッショナルであろう」とか、変に「コンサルタントであろう」として自分を飾ることなく自然体で、素直に目の前のクライアントやチームの役に立とうと思えるか、またどれだけ前のめりに自己発信をして、チャレンジしながら変化していけるかどうかが大事です。多くの失敗をしながらも誰にも遠慮することなく、成長のきっかけを掴める人の方が、早く成長できるでしょう。そうして一人ひとりが自己実現し、クライアントに価値を届けられる人になることがファームとしての成長です。

BCGは、純粋にクライアントに高い価値を提供したいと思ってる人が多いファームなので、そこが非常にいいカルチャーだと思いますし、我々の存在意義でもあります。BCGの人は、社会をよくしたいと思って切磋琢磨し、自己研鑽してる人たちの集合体なので、人材こそがアセットです。

就職先を決めるというこの学生時代の決断が、人生最後の決断になるわけではないので、悩みながらも「まずはこれをやってみるか」とチャレンジする姿勢も同時に大事だと思います。就職活動は挑戦の機会だと捉えて、ぜひ前向きに取り組んでもらいたいですね。

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