生活者を中心とした社会のあり方を考え、未来に必要な価値を実装する【コンサルタントの道 vol.24】

皆さんは、自分がなぜコンサルタントを目指すのか、その目的や想いを具体的に伝えることはできますか? 第24弾の連載「コンサルタントの道」では、官民連携プロジェクトなどで数々の成果を上げ、黎明期からヘルスケア領域の発展に貢献してきたNTTデータ経営研究所のパートナー・米澤さんにインタビュー。「なぜ事業開発からコンサルタントへ転身したのか?」といったキャリアの話やヘルスケア領域への想い、社会に新しい価値を実装したプロジェクトについてなど、幅広くお話を伺いました。

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目次

プロフィール
入社3年目に訪れた、キャリアの転機
事業開発からコンサルタントへ転職した理由
幅広い視点から生活者を支える、官民の垣根を越えたアプローチ
未来を見据え、黎明期から取り組んだ新たな基盤づくり
長期的な視点で社会に新しい価値を届ける使命
多様な経験が織りなすコンサルタントのユニークなキャリア

プロフィール

米澤 麻子さん

株式会社NTTデータ経営研究所
ライフ・バリュー・クリエイションユニット パートナー

大手保険会社にてヘルスケア領域の事業開発に携わる。NTTデータ経営研究所に入社後は、医療・保健・福祉分野のコンサルティング・調査に取り組む。 専門はヘルスケアビジネス、社会保障で、健康医療・介護分野の政策全般に精通している。

健康医療分野では、遠隔医療、IoT・AI×医療に関する調査・実証事業、医療情報プラットフォーム関連プロジェクト等に携わる。介護分野には介護保険制度創設当初から関わり、医療介護連携やケアマネジメントに係る調査研究、IoT・AI×介護に関する調査・実証事業プロジェクトも長年実施している。

入社3年目に訪れた、キャリアの転機

 ──はじめに、米澤さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

米澤:大学時代は経済学を学びながら、サークル活動にも勤しみ、楽しい学生生活を送っていました。ゼミでは財政学を専攻し、担当教授も社会保障を専門にしていたので、社会福祉には強い関心があり、奥深い領域だなと思っていました。

周囲の就職先は金融や公務員など様々でしたが、私は色々な業界の企業の方に話を伺ったうえで、社員の皆さんの人柄や社風を重視し、保険会社への入社を決めました。最初の2年間は保険関係の業務に携わり、3年目で新規事業開発部署を希望し、ちょうどポストが空いたため、その部署に異動しました。

当時は介護保険制度が始まるタイミングで、保険会社が介護に関わることで保険サービスの付加価値が上がるとの観点から、その部署では新規サービスの開発に取り組もうとしていました。この頃の私には、介護や事業開発についての知見が一切ありませんでしたが、チームの一員として一つひとつ学びながら事業開発を進めていきました。

その後、社会人5年目の時に、その部署で培ったソリューションや社内外の人脈を活かして、ジョイントベンチャーを設立することになり、部署ごと異動する形で事業会社へ出向しました。

保険会社に入った当初は、まさか自分が事業作りに携わるとは想像していませんでしたが、実際に取り組んでみるとすぐにその面白さに気づきました。保険会社の仕事は社会的意義が大きいですが、大きな組織の一部ではなく、小さなユニットでサービスを開発し、自分が携わったことが新聞記事になったことがとても嬉しかったのを覚えています。

最初に携わった介護のプロジェクトでは、ケアマネジャーという専門職の方たちと、何度も意見交換し、現場の方たちの想いに触れる機会が多くありました。その時に、ケアマネジャーの方たちが前向きに仕事に集中できる環境を作ることが高齢者の生活にとって重要だと感じ、それが私の原体験になっています。

また、事業会社では、介護分野だけでなく、オンライン健康相談などの健康分野の事業にも関わり、相談者の声を聴くなかで、人々にとって健康とは何かを深く考える経験もしました。現場の声を拾い上げ、それを持続可能なビジネスに繋げて、社会にとっても、利用者にとっても、現場で働く一人ひとりにとってもよい循環が生まれる仕組みを作ろうと心に決めました。事業開発のプロセスや運営を経験できたことは、私のキャリアの中でも非常に大きな経験です。

事業開発からコンサルタントへ転職した理由

──事業開発を経験した後、コンサルティングファームへ転職した理由を教えてください。

米澤:当時は保険会社の中にヘルスケア領域に関する専門知識を持つ人材が限られており、私自身、より広い視野で仕事ができる環境を探していました。また、大きな企業では異動がつきものなので、中長期的な視点でヘルスケア領域の課題解決に取り組みたいという想いから、出向先のジョイントベンチャーを経て、保険会社に戻るタイミングでコンサルティングファームへの転職を決断しました。

転職の際は複数の選択肢がありましたが、事業開発で経験していた介護や健康分野に限らず、医療分野まで含めて携わることができ、ヘルスケア全体を俯瞰的に捉えることができる環境に魅力を感じ、当時ヘルスケアの領域を立ち上げるタイミングだったNTTデータ経営研究所を選んだという経緯です。

ただ、私が入社した2007年頃は、すでにリーマンショックの入り口に差しかかっていて、コンサルティング業界は冬の時代でした。また、社内のヘルスケア領域も黎明期で、仕事は限られていましたね。

──事業会社での仕事を通して、物事を俯瞰してより大きな視点で仕事をしたいという気持ちが芽生えていったのですね。

米澤:先ほどのケアマネジャーの皆さんの話は今も深く記憶に残っていますし、健康関連のサービスを開発するときも「これが本当に一人ひとりの健康にとって最適なのだろうか?」ということを常に意識しながら仕事をしていました。「個人個人が生きやすい社会を作っていくためにどうしたら良いのか?」という問いに向き合うために、ヘルスケア領域全体の理解を深める必要性を強く感じていました。

もちろん事業会社での仕事もやりがいはありましたが、事業運営からは一歩引いて、社会に必要な仕組みづくりやビジネス全体のサポートをすることができるコンサルタントの立ち位置が自分に合っていたのだと思います。

幅広い視点から生活者を支える、官民の垣根を越えたアプローチ

──ライフ・バリュー・クリエイションユニットについて教えてください。

米澤:生活者を大切にして、その方たちを中心に社会のあり方を考えていこうというのが、ライフ・バリュー・クリエイションユニットのミッションであり、私自身のミッションにも通じています。特にヘルスケアは人々の生活の中でも大きな割合を占めるため、多くのヘルスケア領域の案件を取り扱っています。

また、ライフ・バリュー・クリエイションユニットには、実に多様な人材が集まっています。新卒入社の方もいれば中途入社の方もいますし、看護師、薬剤師、ケアマネジャーなど専門職の方や、行政やコンサルファーム、アカデミア出身の方など、バックグラウンドは様々です。それぞれの知見や経験を活かして、お互いに情報を交換したり、わからないことは聞いたりしながら仕事を進めることができ、多様性を受け入れる土壌があります。女性比率が高く、ユニットのメンバーの約半数が女性というのも特徴です。

──官民どちらの案件にも携わる機会があるのでしょうか?

米澤:私たちが取り組むヘルスケア領域には、民間の新規事業開発やサービス開発の案件も多くあり、官民両方の案件に携わることができます。例えば実証実験のように、民間企業と一緒に国のプロジェクトに応募して、官民連携で取り組むプロジェクトもあります。

そもそもヘルスケアは民間だけでも、公共だけでも成り立たない領域です。保険制度という公的な枠組みがあり、その中で介護サービスや医療サービスの多くは民間が主体となって担っていますし、保険外のサービスも多く存在するため、ヘルスケア全体の構造を考えながら、物事を動かしていく必要があります。また、人々が医療にかからなくても良いように健康増進に取り組むためには、民間企業と力を合わせて総合的に考えていかなければいけません。その両方を経験できるのはライフ・バリュー・クリエイションユニットの良いところだと思います。

さらに、健康、介護、医療といった領域や、公共・民間などで役割を細分化しすぎることなく、多岐にわたる分野をカバーしているため、アプローチの幅が広いのも特徴です。

アサインについては、1on1などでコンサルタント一人ひとりの志向性やスキルを確かめながら、柔軟に対応しています。意向があれば、官民両方に携わることも、どちらかの案件だけを手がけることも可能です。テーマオリエンテッドに、こどものことに関わりたいとか、メンタルヘルスに関わりたいという想いがあれば、希望するテーマに携われるように支援しています。

未来を見据えて、黎明期から取り組んだ新たな基盤づくり

──これまで携わってきたヘルスケア領域の中で、特に印象的な案件があれば教えていただけますか?

米澤:特に印象的な案件は、私が当社に入社してすぐに関わった遠隔医療のプロジェクトです。NTTデータ経営研究所としてヘルスケア領域の立ち上げの時期であり、遠隔医療は中長期で一つの大きなドメインになると考えて、力を注いでいました。遠隔医療が地域医療にどう役立てられるか、関係省庁が議論する委員会の事務局としてプロジェクトに携わらせていただきました。実際に全国の様々な地域にヒアリングに赴き、具体的な現場の状況を把握し、地域の課題解決に役立つテクノロジーのあり方を考えることができました。

当時は通信技術も未熟で、遠隔医療は、本当にやり取りできるかといった技術検証が主に研究されていました。今ではテクノロジーが進化し、制度面も整えられてきて、遠隔医療、オンライン診療がかなり普及してきたことは、とても感慨深いです。

 ──世の中の仕組みや制度はもちろん、テクノロジーの進歩と共に新しい情報や知見を得ながら取り組まれてきたのですね。他にも、米澤さんが携わったプロジェクトについて教えてください。

米澤:IoT×医療の観点でお話しすると、7、8年前に糖尿病の管理のためにIoTを活用するプロジェクトに携わりました。糖尿病の患者は自宅で血圧や体重を管理する必要があるため、アプリとデバイスを用いてモニタリングし、そのデータを医師に提供するという実証実験です。歩数計や体重計からデータを収集し、血糖値の変動を把握して、生活習慣の改善など行動変容を促す方法を検討しました。

このプロジェクトでは、親会社や民間企業と連携して国のプロジェクトに参加し、自治体や医師、企業と協力して取り組みました。苦労もありましたが、多くのステークホルダーと実現可能な方法を検討し、課題に立ち向かう経験は非常に面白かったです。

長期的な視点で社会に新しい価値を届ける使命

──NTTデータ経営研究所ならではの取り組みやアプローチについて教えてください。

米澤:私たちの特徴の一つは、官公庁、民間企業、介護や医療の現場など、多くのステークホルダーとネットワークを築いていることです。そのため、チームを編成し、共同で課題解決に取り組むことが可能です。

また、社会課題オリエンテッドという特徴もあります。企業として利益を上げることは重要ですが、単なる利益追求ではなく、社会に価値を提供し、社会全体の発展に貢献するバランスを考えながらコンサルティングに取り組んでいます。それゆえに、短期的な利益に焦点を当てたプロジェクトは存在せず、長期的な視点でコンサルティングに取り組むことができるのは当社の良さだと言えます。さらに、長きにわたり当社で活躍するコンサルタントが多いため、長期的な視点で物事を考えながら社会課題に向き合うことができる環境です。

──先ほどの遠隔医療に関する話は、長期的なアプローチが社会に価値をもたらした良い例ですね。案件の獲得においても、何か違いがあるのでしょうか?

米澤:当社では、上級コンサルタントが大規模なプロジェクトを獲得し、それを全員で分担するというスタイルではなく、大規模から小規模まで様々なプロジェクトがある中で、個人の意志を尊重しながら、柔軟に取り組むことができます。したがって、若いコンサルタントでも意向に応じて、公募案件への応募や営業活動を通じた案件獲得など、必要なサポートを受けながら取り組むことが可能です。これをやりたいという意欲と一定水準のスキルを持っていれば、若手のうちからお客様へのプレゼンテーションや折衝に携わることもできます。

──社風や働き方においても、NTTデータ経営研究所らしさはありますか?

米澤:当社は比較的自由な組織風土だと思います。働き方においても、裁量労働制のため、一人ひとりの生活状況に合わせた柔軟な時間の使い方が可能です。ライフ・バリュー・クリエイションユニットにも男性や女性を問わず、産休や育休を取得し、その後復帰するコンサルタントがいますが、9時台と18時台は子供の送り迎えのための時間を確保して、その前後で時間を調整しながら仕事をするなど工夫しています。ライフイベントに合わせて柔軟に仕事をアレンジできることは大事だと思いますし、当社の良い風土の一つでもあるので、今後もこのような働き方をサポートしていきたいと考えています。

多様な経験が織りなすコンサルタントのユニークなキャリア

──あらためて、米澤さんはコンサルタントの価値をどのように捉えていますか?

米澤:私は社会人3年目で新規事業開発の部署に異動し、その時初めて介護や事業づくりの世界に触れました。その経験が現在の私の仕事に繋がっていることを考えると、非常に感慨深いですが、当時は世の中の動向やテクノロジーの進歩についてあまり深く理解していませんでした。事業会社では、既存のソリューションや人脈を活用して仕事を進めることが多いため、仕事は楽しいものの、どこかで制約がありました。

そうした状況がある中で、日々の技術革新や政策変更などの多岐にわたる情報を俯瞰して捉え、どのようにビジネスに役立てるべきかを検討し、企業の経営陣や政策担当者に適切に情報を提供して、問題を解決に導く役割を果たすのがコンサルタントの一つの価値だと考えています。

また、全てのプロジェクトがスムーズに進むわけではなく、時には困難に直面することもあります。それでも物事が円滑に進むように調整し、人間関係の問題などにも対処しながら、着実にゴールに近づくために、お客様と同じ方向を向いて進んでいくことが求められます。

──最近はコンサルタントのキャリアについての考え方も、変化しているのでしょうか?

米澤:ヘルスケアの領域には先端医療から介護まで、多くの分野が存在し、それぞれに専門性は異なります。そのため、特定の分野に焦点を当てて専門知識を深める人もいれば、幅広い分野に関わりながら裾野を広げていく人もいます。

しかしながら、健康や生活は様々な要素と関連しており、例えば健康サービスの提供においては食品や地域づくりなど、ヘルスケア領域を超えた知識と理解が求められます。そのため、過度に特定の領域だけに縛られず、広い視野を持つことは、これからのコンサルタントにとって重要なことかもしれません。π型人材と言われるように、専門的な知識を持ちつつも、他の分野で広く深く経験を積み、複数の強みを持っている方が、その先のキャリアの広がりも期待できると思います。

──そうなると、若いうちから様々なテーマで経験を積むことができる環境を選ぶことがとても大事ですね。どこかに軸足を置きつつ、新たな挑戦をしながらキャリアを構築していくことで、中長期で可能性が広がりそうです。

米澤:当社では、一人のコンサルタントが複数のプロジェクトを同時並行で動かしていくため、挑戦的な環境ではありますが、その分、早い段階から多様な経験を積む機会があります。官民問わず、さまざまなプロジェクトやテーマに関わることで、一つひとつの経験が積み重なり、組み合わさって、次の課題や将来の新しいテーマに関わるきっかけになることもあるでしょう。それにより一人ひとりのユニークなキャリアが形成されていくのもコンサルティングの面白いところです。

人生は長く、時に予測できない出来事が起きるので、予め計画したキャリアの通りに歩んでいくことは難しいですが、その時々の選択の先に、将来の自分にとってすごく重要な事柄に出会うこともあります。どのような経験も無駄にはならないので、あまり理想にとらわれ過ぎず、色々な経験をしながらキャリアの方向性を定めていくのも良いと思います。

何よりも、自分がどのように社会や人々の役に立ちたいのかという想いを大切にして、ワクワクする仕事に取り組むことが最も重要です。当社には、そうした想いを受け入れ、育んでいく土壌が広がっているので、ぜひそれを活かしていただきたいですね。

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