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連載「コンサルタントの道」第18弾では、自動車・産業財・化学・素材など製造業のクライアントの変革支援を担う、野村総合研究所(以下NRI)グローバル製造業コンサルティング部長の古賀さんが登場。
「戦略・業務・実行支援、そしてシンクタンクの機能を持つNRIだからこそ、社会課題解決型のコンサルティングが実現できる」と語る古賀さんは、コンサルタントとしてどのように個性を磨き、価値を発揮してきたのでしょうか。個人のキャリア形成からNRIの今後のグローバル展開まで幅広く話を伺いました。
目次
プロフィール
日本のコア産業の変革支援を手がける奥深さ
コンサルタントの個性を重視するファーム
経営戦略コンサルティングとITを武器に挑むトップイシュー
社会やあらゆる産業の変革を実現するプロフェッショナル
時代によって移り変わる、必要とされるコンサルティング
日本経済や産業活性化のために、NRIが国内外で発揮する真価
社会・クライアントファーストで特殊解を導き出すコンサルティングの醍醐味
プロフィール
古賀 龍暁さん
株式会社野村総合研究所
グローバル製造業コンサルティング部長
東京大学大学院農学生命科学研究科修了後、野村総合研究所のコンサルティング部門に入社。自動車・電機などの製造業セクターでのコンサルティング業務に従事し、欧州コンサルティング会社との提携の推進、米国拠点コンサルティング部門長など海外経験の後、現在は製造業を担当するグローバル製造業コンサルティング部長を務める。製造業における開発〜生産〜販売の事業戦略やグループ戦略などの戦略コンサルティングやデジタル化実行支援の他、NRI社内グローバル・プラクティスをリードし、NRI全社での価値創造に取り組む。
日本のコア産業の変革支援を手がける奥深さ
──まず、これまでのキャリアについて教えてください。
NRIに入社すると、1年目に2つの部署を経験します。私は1年目に戦略系と本社経営系の領域を経験し、2年目からはメーカーや商社をクライアントとする戦略系プロジェクトに従事することになりました。
自動車やヘルスケアなど多岐に渡る業界を経験しましたが、自由競争で産業の裾野も広い自動車業界では、自動車メーカー・部品メーカー・素材メーカーなど、全てを理解した上でコンサルティングサービスを提供することが重要です。そこに奥深さを感じ、2年目の時から自動車業界に集中的に取り組むようになりました。
それからは自動車を中心に製造業のコンサルティング経験を積み、5年目からプロジェクトリーダー、10年目からはアカウントマネージャーとして中国、東南アジア、欧州などを飛び回り、自動車メーカーのグローバル経営の支援や、欧州のコンサルティング会社との提携を推進するなどしてきました。
その後、15年目に米国行きを志願し、NRIアメリカのコンサルティング部門長を経て、帰国してからはグローバル製造業コンサルティング部の部長を務めています。
グローバル製造業コンサルティング部は自動車・産業財・化学・素材など製造業のクライアントの変革支援を担う部署です。製造業は日本のコア産業であり、クライアントの中にも多くのノウハウが蓄積されている産業です。そのため、お客様の置かれているあらゆる状況を理解していなければコンサルティングが成り立たないので、一つの部門で多岐にわたる変革支援を手がけています。
コンサルタントとしての個性を重視するファーム
──古賀さんは初めからコンサルティング業界を目指していたのでしょうか?
大学院で研究をしていたのですが、初めは博士課程に進もうかと漠然と考えていました。しかし、研究生活の中で日本と米国では各産業の力に相当な差があることを感じていたので、「国や産業を支援する立場にまわって日本をなんとかしたい」と考えるようになり、研究室の仲間から野村総合研究所という会社があることを教えてもらい業界に興味を持ちました。
コンサルタントになるのは狭き門でしたが、今と比べると当時の就職活動は情報も少なく、どこか面接一発勝負のところがありました。私は研究者志向だったこともあり、大学や大学院で学んだことを活かして働きたいと考えていたので、そのような点も重要視するNRIだけに絞って就職活動をしていました。
また、研究生活では計算機と常に向き合っていてプログラミングも性に合っていました。そのため、コンサルタントとテクニカルエンジニアの2つの職種を志望しており、当時の採用担当から珍しがられたのを覚えています。
──ファームとしての若手コンサルタントの育成方針について教えてください。
NRIは一人ひとりの個性によって日本を良くしていきたいと考えているファームなので、論理性とともに個性に重きを置いています。そのため多少荒削りでも入社1年目からコンサルタントとして責任ある挑戦をさせて、自分の名前で勝負できる人材を育成していく方針です。
1年目からお客様の矢面に立つ経験を重ね、3年目くらいでプロジェクト全体の責任を負うプロジェクトリーダーを担います。そして5年目あたりからは問題解決のプロフェッショナルとして対外的な情報発信にも取り組みます。
コンサルティングは組織戦の様相がありますが、コンサルタント自身が個性を磨いていかなければ価値を出しづらい仕事でもあるので、個性や個人の価値を重視したコンサルタントの育成とプロジェクトへのアサインをしています。できる限り自由意志が尊重されますし、いくつかのオプションの中から自分の志向性にあった選択をすることができます。
私の場合は、まず産業軸でスキルやノウハウを身につけて自分の強みを磨き、その後プロジェクトやお客様のマネジメントをする立場になって顧客軸を身につけました。そこに、自分の好奇心に基づいて海外という地域軸とIT軸を加え、コンサルタントとしての個性と価値を高めてきました。
経営戦略コンサルティングとITを武器に挑むトップイシュー
──様々なコンサルティングファームがある中で、NRIにはどのような特徴があるのでしょうか?
NRIは経営戦略コンサルティング×シンクタンクとITを武器に、企業・社会・産業の問題解決に取り組むコンサルティング会社です。
経営戦略コンサルティングに関しては、私たちは経営・業務・政策のコンサルティングのエキスパート集団であり、大企業や官公庁のトップイシューに挑みながら、日本や世界の変革に貢献する存在だと捉えています。
業界軸とテーマ軸に分けて、基本的には人をアセットとした価値提供をしていますが、最近は人だけでなくお金もアセットとして活用し、ジョイントベンチャーを立ち上げるなどしながらレバレッジを効かせる取り組みもおこなっています。
もう一つのITは、金融向け、製造業向け、小売業向けなど産業セグメントによって求められるソリューションが全く異なります。NRIのITソリューションは、難易度の高い金融分野と産業分野のITを出自としており、そこで高い技術力とクオリティを誇っています。
ITソリューションにはアーキテクチャという言葉があります。これはどういうスペックでハードウェアを組み合わせ、そこに適切なソフトウェアをどのように乗せていくかというITのベースとなる考え方です。このアーキテクチャを深く理解していないと、ハードウェア、ソフトウェア、そしてネットワークまで含めてどう全体設計をすれば良いのか、正確に描くことができません。IT業界では大規模プロジェクトが途中で頓挫してしまうことも起きるのですが、その原因はこうしたアーキテクチャの理解度にもあると考えています。
NRIのITソリューションの強みは、このアーキテクチャを深く理解しているところであり、難易度の高い分野で培ったノウハウを活かしています。