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「海外勤務を経験したいけど語学力が足りない」と不安を抱える学生の方は少なくないでしょう。しかしながら、近年グローバルでプレゼンスを高めるNRIでは「海外勤務のための制度を利用する際に、語学力など求める要件はない」と言います。
実際にNRIではどのような制度が用意され、どんなコンサルタントが海外で経験を積んでいるのでしょうか。連載「コンサルタントの道」第22弾では、20代で海外勤務経験のある、プリンシパルであり25卒の採用担当である濱野さんとシニアコンサルタントの小山さんに、海外経験を積むチャンスの多いNRIの環境や、グローバルに働く意義などについて話を伺いました。
目次
プロフィール
グローバルを経験した2人の入社の背景
若くしてプロジェクトをリードできるNRIの環境
コンサルタントの海外挑戦を柔軟に後押しする制度
海外経験を経て磨かれる、戦略コンサルタントとしての武器
日本で味わうことのできない、海外ならではの経験
グローバルで求められる日系ファームの役割
グローバルでのプレゼンスを高めるNRIに広がる可能性
プロフィール
濱野 友輝さん
株式会社野村総合研究所
プリンシパル/新卒採用チームリーダー
2011年、新卒でNRIに入社。専門は自動車・電機・化学業界を中心とした経営戦略・事業戦略策定、M&Aアドバイザリー。近年では、ビジネスモデル転換・事業開発支援やDX・業務改革の策定・実行支援にも従事。2016-17年には、NRIインド/NRIタイの海外法人2拠点にてマネージャーとして活動、2020-21年にはEARTHBRAIN社設立(NRI含む4社によるジョイントベンチャー)に向けた社内検討メンバーを兼任。2023年より25卒向け新卒採用チームリーダーに就任。
小山 満さん
株式会社野村総合研究所
ヘルスケアサービスコンサルティング部 シニアコンサルタント
米国の大学を卒業後、2015年に新卒でNRIに入社。主に情報通信分野における事業戦略、新規事業立案および実行支援に関するコンサルティング業務に従事。2022年には米国テキサス州ダラスに移住し、NRIアメリカの拠点拡大を推進。2023年より現職。
グローバルを経験した2人の入社の背景
──はじめに、お二人がNRIに入社するに至った背景やこれまでのご経験について教えてください。
小山 米国ミズーリの大学を卒業し、ボストンキャリアフォーラムという海外留学生のための就活イベントに参加した際にNRIに出会い、2015年10月に入社しました。最初に配属されたのはICTメディア・サービス産業コンサルティング部(当時)という、主にIT周りの事業戦略立案や調査・分析を手がける部門です。
私は新しいものへの興味関心が強く、コンサルティングを通じて様々な業界の課題を見聞きすることで、新たな事業機会を見つけることができるのではないかという考えから、自動車などの製造業から、電力や小売まで、自らの希望で幅広い業界に携わってきました。
濱野 私は大学院工学研究科で応用物理を専攻していて、2011年にNRIに入りました。当時はリーマンショックの後で、国内大手メーカーの多くが非常に大きな赤字を抱え苦しんでいる状況だったので、第三者の立場から世の中にインパクトを与えることができ、重要な経営課題から最新の技術的なテーマまで携われる仕事に魅力を感じ、コンサルタントを志望しました。
コンサルティングファームのなかでNRIを選んだのは、インターンシップなどを通じて、社風の良さや携わることのできる仕事の大きさが、自分に合っていると感じたからです。当時から製造業のコンサルティングを手がけたいと考えていて、入社後は自動車会社やエレクトロニクス、化学業界のお客様を対象に、経営や戦略のコンサルティングやM&Aのアドバイザリーなどを担い、現在に至ります。
また、2016年から2017年にかけては社内の制度を利用して、NRIタイとNRIインドの2カ国の拠点で仕事をし、現地でマネージャーを務めるなどの経験もしました。
若くしてプロジェクトをリードできるNRIの環境
──小山さんが米国企業ではなく、日本企業を選ばれた理由を教えてください。
小山 経営学という比較的ジェネラルな学問を専攻していたので、それほど専門性が確立されていない状態で米国で仕事に就くよりも、海外に行く機会を得られる日本企業で働く方が、専門性を身につけながら自らの英語力を武器に海外の仕事に従事できるのではないかと考え、日本企業に絞りました。
NRIの他にも外資ファームを含めいくつかのコンサル企業を検討しましたが、入社1年目から3年目の若手のうちからプロジェクトリーダーの経験を積むことができるという点で、NRIが非常に魅力的でした。より早く成長実感を得るためには、責任ある立場で早期にプロジェクトをリードする経験が必要だと考え、それを実現できる環境を選んだという経緯です。
また他社の面接では、志望動機から始まり杓子定規な質問が多かったのですが、NRIの面接ではリラックスした雰囲気の中で「今後、何をしていきたいのか」といった質問など、対等に対話をしながら、真摯に向き合ってもらえたことが印象に残っています。面接官の印象や人柄が良く、そうしたところにNRIの社風の良さがあらわれていると感じました。
──濱野さんは、入社前から海外への意欲が高かったのでしょうか?
濱野 将来的にはクロスボーダーの案件に携わったり、海外で働く経験を積んだりしたいと思っていましたが、まずは国内で製造業の戦略コンサルティングに携わろうと考えていました。
入社2年目から3年目にかけてプロジェクトリーダーを経験し、製造業のお客様の事業戦略策定やM&Aの戦略策定などの案件を複数手がける中で、国内でコンサルタントとしての専門性が少しずつ広がってきた手応えがありました。そのタイミングでいずれ経験したいと思っていた海外勤務を実現するのが良いのではないかと考え、入社5年目に海外に行くことを決めました。
ただ、海外に行くための準備は何もしていなかったので、NRIの海外拠点でOJTを受けながら働くことを前提としたトレーニー制度を活用しました。私が海外で働く経験を積むことができたのは、この制度が使いやすいものだったからだと思います。
コンサルタントの海外挑戦を柔軟に後押しする制度
──トレーニー制度では、海外に行く準備の段階からサポートを受けられるのでしょうか?
濱野 トレーニー制度で海外拠点に行くと現地では基本的にOJTが中心です。実際にプロジェクトに入ったり、外国語でプロジェクトをリードする役割を担ったりするので、その前に必要な準備をしてから海外に渡航しました。国内大卒か海外大卒かなどによっても異なりますが、自分が補いたいスキルに応じた研修やサポートを選ぶことができます。
私は英語がそこまで得意ではなく、英語のオペレーションでプロジェクトをリードする自信がなかったので、事前に国内での語学研修を活用しました。また、当時はクロスボーダーの案件に携わった経験があまりなかったので、グローバルでの人材マネジメントやプロジェクトリードのポイントについての研修なども受けました。
──制度を利用するにあたって、満たさなければいけない要件があれば教えてください。
濱野 実は、コンサルタントに求める要件はありません。以前はいくつか満たすべき要件があったのですが、現在はコンサルティング事業本部内で制度を設計、運用しているので、制度を利用する人数の枠を増やすなど柔軟に対応しています。昨年度は6名のコンサルタントがトレーニー制度を使って海外に行きました。
「TOEICで何点以上取らなくてはいけない」とか、「国内で海外とのコワーク経験や実績がないと認められない」ということも一切ないので、基本的には自分の意思に基づいて自分のタイミングで利用できる制度です。
小山 最近は、これまで海外で働くために必須だった言語の障壁も徐々に下がってきている印象です。英語であれば、音声認識技術でかなり精度の高い議事録を自動作成できますし、オンライン会議中にリアルタイムで字幕が出るWebツールなどもあるので、今後は海外で働くために言語の習得が必須ではなくなり、代わりにソフトスキルがより重要になっていくと思います。
──コンサルタントとして、どのようなタイミングでトレーニー制度を活用するのが良いと思いますか?
濱野 何も武器がない状態で海外に行くよりも、コンサルタントとしての経験や専門知識など、国内で自分の土台を作ってから制度を活用することで、より価値ある経験を積むことができると考えています。
実際に制度を使って海外に行っているのは、20代後半から30代前半のコンサルタントが中心です。それまでに築いた専門性に海外という新たな軸を加えて、グローバルのクロスボーダーの案件を創出したり、海外で現地の人材をマネジメントしたりしながら経験を積むというのが、トレーニー制度の最も良い活用方法だと思います。
小山 私もトレーニー制度を使って20代後半で米国のダラスに赴任し、ある自動車メーカーのプロジェクトを経験しましたが、プロジェクトリーダー兼アドバイザーとしてプロジェクトを推進していく中で、自分のことを相手が知らない状態でも現地の外国人のチームメンバーについてきてもらう必要があります。
そこで、着任直後に自動車業界及びプロジェクトテーマ関連の動向を複数の角度から分析した100ページにわたる資料を英語で作成し、メンバーに事前にプレゼンをして情報共有し、プロジェクトをリードしていけることを示すことで、早期に信頼関係を築き、チーム体制を整えるように努めました。
そうした対応も含め、国内でプロジェクトをリードした経験が少ないと海外ではなおさら難しいので、私も国内で3〜4年は経験を積んでからトレーニー制度を使って海外に行くのが望ましいと考えています。
海外経験を経て磨かれる、戦略コンサルタントとしての武器
──トレーニー制度以外でも、若手が海外を訪れる機会は多いのでしょうか?
濱野 学生時代あまり海外との接点がなかった私も、製造業のコンサルティングを手がける中で、多い時には年に4、5回は1週間以上の海外出張に行っていました。
製造業の中でも特に自動車が専門なので、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、ベルギーなどヨーロッパの主要な国は大体訪れました。グローバルの案件を手がけるコンサルタントの中には、月に2回は海外出張に行っていてほとんど日本にいない人もいます。
小山 最近は出向という形で人材の交流も盛んになってきています。例えば今まで東京でコンサルティングをしていた人を米国やインドに送り込むケースもありますし、同様に海外から日本に来てもらうこともあり、NRI全体でグローバルでのリーダーシップをつけていこうと取り組んでいます。
──留学経験の有無などに関わらず、一度はグローバルを経験するコンサルタントが多いのでしょうか?
小山 少子高齢化や地方創生など、国内の大きな課題を解決したいというコンサルタントは、グローバルよりもプロフェッショナルとしての視点を重視して、関連する産業の専門性を高めることに注力する人が多いです。
一方で、私たちのようにインダストリー側に属する戦略コンサルタントの場合、グローバルでビジネスを展開しているお客様が多いので、海外経験を積むことはコンサルタントとして解決できる課題や提案の幅を広げることに繋がります。
自らの専門性にさらに海外という軸が加わることで、より発展的なキャリアを構築しやすくなりますし、グローバルという観点を重視して一度は海外で経験を積みたいと考えるコンサルタントは少なくありません。
個人的にもこれからはグローバルでのマネジメント力、もしくはテクノロジーの活用による推進力のどちらかを身につけていないと、コンサルタントとして事業を支援していくことは難しいと思っているので、若くしてグローバルでのマネジメントやプロジェクトをリードする経験を積むことができたのは非常に良かったと感じています。
日本で味わうことのできない、海外ならではの経験
──NRIとして、今後どのような海外での展開を考えているのか教えてください。
小山 日本経済は停滞していると言われますが、私たちコンサルティング事業本部は年々売り上げを伸ばしています。ただ、今後の事業の伸びしろを考えると新しい領域を確保していく必要があるため、市場が成長していて、新たなポテンシャルがある国々に出ていき、さらに海外での展開を強めていく算段です。
濱野 NRIとしては海外売上比率を高めていくことを経営のKPI(重要業績評価指標)としていて、実際にオーストラリアや北米では積極的にM&Aを進めています。コンサルティング事業本部としてもさらに海外でのプレゼンスを高めるために、グローバルの拠点を拡大していくことを重視しています。
──濱野さんはタイやインドでどのような経験をされたのでしょうか?
濱野 私は日本であまり経験しなかったクロスボーダーのプロジェクトリードや、多拠点を巻き込んだマネジメント経験を積むために、タイやインドでは現地のメンバーと一緒に、案件を全て英語でデリバリーすることに徹しました。
タイでは自動車会社に向けて商品開発戦略の検討を進めるプロジェクトに携わりました。具体的には5年以上先のニューモデルに搭載する商品のコンセプトや技術的イメージを深めて、アジア4カ国における商品開発戦略を作るという案件だったのですが、国によって文化的背景に大きな違いがあり、所得水準や好まれる車の傾向など市場環境も異なります。
そのため、国ごとにアプローチを変える必要があるなど、日本では味わうことができなかった経験をして多くの学びがありました。
また私がプロジェクトリーダーを務め、フィリピン、タイ、インドの現地拠点のコンサルタントをメンバーにプロジェクトに取り組んだのですが、言語面での障壁以上に仕事に対する考え方や文化的背景の違いによる課題に直面したのも良い経験です。
──小山さんの米国でのご経験についてもお聞かせください。
小山 コンサルティングにおいて、調査・分析・戦略立案という一連の流れがある中で、NRIアメリカとしてより付加価値を高めるために何かできないかと考え、新たなソリューションを提供するためにDXパートナーを探す取り組みを推進しました。
具体的には、新規事業構築を柔軟に手がけられるケイパビリティを有するパートナーを探すために、米国全土で可能性のある企業を約100社リストアップし、そこから30〜40社に絞り込み、デザインシンキングに特化した企業にアプローチをしていきました。最終的にその中の一社とパートナーシップを組み、日本のNRIのコンサルタントにナレッジを共有するなどしました。
デザインシンキングや先端テクノロジーなど、米国で先行しているテーマが時間差で日本に入ってくる傾向があるので、ビジネストレンドについて日本より早く知ることで学びになりました。
また、コンサルタントとして国や企業の枠組みを超えた繋がりを増やし、いつでも連携できるパートナーを確保しておくことも重要だと考えているので、そうした取り組みを実現できたことは非常に良い経験になりました。
グローバルで求められる日系ファームの役割
——NRIの海外拠点に対して、どのような役割を期待しているクライアント企業が多いのでしょうか?
濱野 海外では日系メーカーのプレゼンスが下がっているという見方もありますが、特定の領域において、日本の産業や技術に注目している海外メーカーは依然として多く、日本ならではのメソッドや考え方、その背景に流れるDNAなどを学ぶために、日系ファームである当社に産業や専門知見を求めて相談が寄せられることは少なくありません。
また、日本市場に参入したい外資系企業から「NRIは日本のことをよく理解している日系ファームだから」という理由で選ばれることもあり、海外から見た時に日系ファームということが、競争力の高さに繋がっていることもあります。
小山 そもそも組織設計や意思決定の仕方、会議の進め方に至るまで、海外企業と日本企業とでは異なる部分が多くあるので、両者の間に入って上手く橋渡しすることもコンサルタントの重要な役割です。そうしてお客様に応じた多様な示唆を出すことができるのも、NRIの立ち位置であり、お客様が当社に求めている役割だと思います。
また、NRIは海外で現地の理解を深め、現地のメンバーと一緒にプロジェクトを推進するだけでなく、東京も含めた拠点間でのナレッジシェアにも積極的に取り組んでいます。そのため米国に拠点を持つ日系企業に対して、日本の現状や事業戦略を踏まえた上で米国内での戦略を提案できるというのは一つの強みです。
そうしてお客様の現状を十分に理解し、国内の事業戦略の方向性と海外での捉えられ方などを踏まえた上で、グローバル全体の方向性を提案できることが、NRIが海外で高く評価される理由だと思います。
グローバルでのプレゼンスを高めるNRIに広がる可能性
——お二人は今後、どのように海外との関わりを持っていこうと考えていますか?
小山 NRIが海外への文脈を強めていく中で、私自身もさらに海外との関わりを増やしていきたいと思っています。プロジェクトを組成する際に、海外のメンバーもアサインし、お客様に対して海外の状況を一貫して伝えられるような体制作りに重点的に取り組んでいきたいです。
そのために米国だけではなく、アジアとの連携も意識したプロジェクトを仕込んでそれをリードしていき、最終的にはグローバルでリソースを自由に配分して体制構築ができる仕組みを作っていきたいと考えています。
濱野 私はトレーニー制度を活用して海外でクロスボーダーの案件に携わったことで、各拠点の知見や人的なネットワークを活用できるようになりました。海外から帰国し3年ほど前にプリンシパルになったことでコンサルタントとしては営業活動の比重が大きくなってきていますが、今後も海外経験を活かしたグローバルでの案件形成や適切なチームアップに取り組んでいくとともに、そうした経験をしっかりと若手に引き継いでいきたいと思います。
——最後に、グローバルで活躍するコンサルタントになりたいと考えている学生に向けて伝えたいことがあればお願いします。
小山 これまでお話ししたように、NRIはアジアだけでなく、ニューヨークやカリフォルニアなど米国にも複数の拠点があり、他にも欧州など世界各国に拠点を構えてグローバルに展開するファームです。
今後NRIがさらにグローバルでのプレゼンスを高めていくためには、海外と日本の人材をうまく繋ぎ合わせながら、プロジェクトをリードしていくことのできるコンサルタントを多く輩出していく必要があり、「積極的に海外と関わりながらコンサルティングを手がけたい」という人にとって、大きなチャンスが広がっています。
濱野 NRIとしては今後も海外売上比率を高めていく計画なので、トレーニー制度だけではなく、グローバルで活躍する人材を育成、輩出するための仕組みを整えていく予定です。そうした制度を最大限活用して、将来的に海外の拠点長など、海外展開を牽引してくれる人材を求めています。
英語など語学が得意であればもちろんそれを活かすことができますし、学生時代あまり語学が得意でなく海外との接点が少なかった人でも、意欲さえあればグローバルでチャレンジする機会が得られます。
これを機にNRIの環境や制度を知ってもらい、海外との接点を積極的に作って挑戦していきたいという人に、NRIでのキャリアに興味を持ってもらえれば嬉しいです。
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