sponsored by 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
連載「コンサルタントの道」第6弾で紹介するのは、戦略策定やスマートシティという領域に専門性を持ち、複数のプロジェクトを牽引する三菱UFJリサーチ&コンサルティングの山本 雄一朗さん。20代にして若手人材の育成や、三菱UFJフィナンシャルグループと連携した案件づくり、産業自体のテーマアップにも携わるなど、その活動の幅は多岐にわたります。そんなファームを代表する若手コンサルタントに、社会的使命を背負った戦略機能だからこそ味わえるコンサルティングの醍醐味や、自身の経験を通して辿り着いた活躍するコンサルタントの要件などについて話を伺いました。
目次
プロフィール
圧倒的な当事者意識と使命感に導かれて選んだコンサルティングファーム
若い力と専門性が産業創造を加速させるMURC独自の環境
日本や産業を主語に置くからこそ導き出せる、独自の解決策
強みはMUFGグループの豊富なアセットを活かし、複数ソリューションを組み合せたアプローチ
視座の高さと真に迫る想いが、コンサルタントとしての信頼を生む
コンサルティングを経験して気づいた、3つの大事な素養
新たなコンサルティングの形を追求する最良の場としてのMURC
プロフィール
山本 雄一朗 さん
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
戦略コンサルティング部 兼 イノベーション&インキュベーション部
ディレクター
東京大学経済学部経営学科卒業
大学在学時に大手IT企業にて事業企画を経験し、新卒で大手情報通信企業に入社。その後、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に中途採用で入社。
圧倒的な当事者意識と使命感に導かれて選んだ、コンサルティングファーム
私は2017年に三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MURC)に中途採用で入社しました。新卒では大手情報通信企業に入ったのですが、そこでの経験がコンサルタントを目指すきっかけになっています。
学生時代は大手IT企業の長期インターンシップで事業企画を経験していたので、ゼロから何かを形にすることが出来る人間だという自負がありました。当然、その経験や能力が通用すると思い、某大手情報通信企業に入社したのですが、程なくして周囲との論理的思考力の差に圧倒されました。その時に自分がいかに会社の看板や周囲の環境に支えられていたのかに気づきました。そして不足している思考力を集中的に鍛えようと考えた結果、コンサルティングファームに転職することを決めました。
また、1社目の就業先のようなグローバル企業や、学生時代に長期インターンシップを経験した大手IT企業の優れた闘い方を見た経験もあり、日本企業一般としては新たな産業を企業・政策・金融等の力を組み合わせながら創り出すためのコンサルティングに拡大の余地があると感じたことも、コンサルタントを目指した理由の一つです。戦後の日本社会は欧米のような分かりやすいロールモデルを目標にし、実直で真面目な国民性と戦後の反骨心をバネに必死で頑張ってきました。それが官僚中心に設計された企業・社会・家族等のシステムと上手く組み合わさり、急速な経済成長につながったわけです。しかし著しい発展を遂げた後は、国も企業も地域も明確な目標を見つけられないまま、気がつけば30年近く経ってしまいました。もちろん、世界に目を向けてグローバルで大型の投資をする企業はありますが、日本社会の停滞を打破するためには、もっとコンサルティングの力を駆使して、多くのアプローチをする必要があるという考えに至りました。
転職する際には複数のファームからオファーを頂きましたが、最終的にMURCを選んだのは日本や社会に対する当事者意識が備わっていて、シンクタンク機能を持つファームの宿命から逃れることのできない環境に置かれているためです。ここ数年で金融グループも大きな変革を迫られていますが、そうした逼迫した状況の中で社会的使命を背負う戦略機能という立ち位置が、非常にユニークに映りました。また入社前の面接で感じた、経験豊富なパートナークラスの方も一緒になり、真剣に難しい課題に取り組むことを楽しみながら、時には“面白がって”議論を進める風土が印象的でした。日本や業界に対する当事者意識を強く持ったコンサルタントが多い、という印象は入社してからも変わりません。
若い力と専門性が産業創造を加速させるMURC独自の環境
現在、私は20代ながらディレクター職に就いています。ディレクターはプロジェクトの成果に集中するマネージャーの上長であり、且つ所属部室の運営やテーマ開発を担っています。その役割は大きく3つあります。一つはプロジェクトにおけるマネジメント。もう一つは、メンバー育成。そして、最後にAll MURC/MUFGグループでの連携強化による案件づくりです。入社から3年が経ち、プロジェクトの開始から完了、そして次の案件に繋げるまでの一連の流れが身につき、手応えを感じるようになりました。今は複数のプロジェクトを同時並行で動かすだけでなく、テーマ開発にも取り組んでいます。
私が所属するコンサルティング事業本部 戦略第1ビジネスユニット イノベーション&インキュベーション部(I&I部)は数十名の組織で、今も組織を大きくしていく過程にあり、アソシエイトからパートナーまで、一般的なファームのようなピラミッド構造がまだ完成していません。ただ案件はたくさん入ってきているので、マネージャーの支援のもと若手に裁量を与えてプロジェクトを推進しています。また会社としても若手の早期育成に力を入れており、私もメンバーのマネジメントをする際には、必ず一つ二つ上の目線で取り組んでもらえるように心がけながらコミュニケーションを図っています。
それゆえに他ファームと比べて早くから上位レイヤーの役割を任されることが多く、特に新卒入社のメンバーは速いスピードで成長実感できる環境だと思います。早ければ3年目にマネージャークラスの仕事を任されることも少なくありませんし、多種多様な案件が豊富にある環境でメンバーを育成できるので、個々の適性に合わせて柔軟にプロジェクトアサインされることも若手のコンサルタントにとって成長機会になっています。
案件づくりに関しても、金融グループの中にいるメリットは絶大です。裾野の広いMUFGグループだからこそ、企業から毎日様々な案件相談が寄せられます。また、その業界における課題の最前線のような相談が多いので、集まる課題が常にアップデートされて面白いですね。どのような案件が入ってきているのかを眺めるだけでも、足元で何が起きているかがわかるのでインプットとして非常に有益です。
さらにMUFGグループ各社には、ファイナンスのプロダクトを作るチームや、お客様に直接お会いする営業チーム、全体の方針を決める経営企画のチームなど様々な機能があり、それぞれにクライアントから寄せられる情報が蓄積されています。通常は課題発掘と課題解決に向けたソリューションを見つけるために、コンサルタントが1社1社ヒアリングを重ねてリサーチを行いますが、すでにそれが数ヶ月分進んでいるような恵まれた環境があるのも大きな魅力です。場合によってはグループ内のスペシャリストが一堂に会して、テーマについて深くディスカッションすることも可能です。
日本や産業を主語に置くからこそ導き出せる、独自の解決策
ファクトとロジックで提言を組み上げていくというのは、どこのファームも同じですが、MURCではいかに日本社会の停滞を打破し、日本の産業を新たな切り口で成長させていくかという所までを考えています。日頃から日本や産業という言葉を主語にしてコンサルティングに取り組んでいるからこそ導き出せる、当社ならではの解の大きさや独自性があるのだと思います。
加えて、当社にはコンサルティングとシンクタンクの部門以外に、ソーシャル・インパクト・パートナーシップ(以下、SIP)という部門があります。SIPはスマートシティやグローバルヘルスケア、デジタルガバメントなど、世界的に解決すべきトピックを追いかけながら、社会課題をテーマとしたオープンイノベーション促進に取り組んでいます。シンクタンク部門、SIP部門のどちらにも経験豊富なプロフェッショナル人材が集まっており、必要な知見やネットワークをゼロから集めることなく、すぐに活用することができます。
私たちが扱っているスマートシティやロボティクス、モビリティやエネルギーというテーマは、国としてどうしていくのかという議論になるため、営業段階からシンクタンク部門とSIP部門を巻き込んで設計をしていきます。そのため解決の方向性は国の政策を見据えたものも多く、場合によっては省庁と連携して実証実験に取り組むこともあります。直近では内閣府や電機メーカー、小売事業者と連携を図り、当社主導でRFIDと呼ばれる電子タグを用いた実証実験を行いました。産業全体の変革を促す中で、クライアント企業をどう成長させていくかというところに、当社のコンサルティングの価値があります。
コンサルティングの一番の醍醐味は、自分が問題の解決策の最初の発見者になれることと、それをクライアントと実現していけることです。ご相談いただく案件は、クライアントが何をどうしたら良いのか分からないものがほとんどなので、そこで示す解決策は自ずと私たちが最初に見つけるものになります。コンサルティングをする上では、どこかで見たことのある答えではない解決策を提示しなくてはいけないので、それを発見できた時が一番エキサイティングな瞬間です。
強みはMUFGグループの豊富なアセットを活かし、複数ソリューションを組み合せたアプローチ
最近は兆円単位を動かす大企業とのプロジェクトだけではなく、中堅企業からの案件相談及びダイナミックな社会変革のための伴走支援も増えています。これは企業による社会変革が、規模に依存するものではないことの証左だと言えるでしょう。規模が大きいからといって必ずしも上手くいくとは限らない時代に、中堅企業を含めてどうレイヤーアップしていくのかというのも私たちが取り組む課題です。従来のピラミッド型の産業構造では実現困難だとしても、そのピラミッドの型を変えるアプローチはできますし、実際にそうした議論が巻き起こっています。これまで国外に活路を求めるか異業種に参入するしか選択肢がなかった中堅企業にとって、今までにないチャンスが増えていると感じます。
一方で、クライアントが何年もかけて取り組んできた課題に対して、コンサルティングのアプローチだけで解決策を示しても、マーケット全体の変化を促すことはできません。当事者がこれまでできなかったことを形にして、より良い社会を創っていくためには、コンサルティングに限らずファイナンスや政策の力も活用するべきです。私たちに求められているのは、まさにそうした総合力です。MUFGグループの豊富なアセットを活かした複数のソリューションを組み合わせたアプローチに価値を感じ、当社に相談を寄せてくださるクライアントは多くいます。ファイナンスや政策といった話から、中堅中小企業がマーケットの中でいかに活路を見出せるかという話まで、広い裾野を活かしたアプローチを実現できるのも当社の強みです。
また、長らくシンクタンクの色が強いファームだったこともあり、コンサルタント一人ひとりが自身が興味深く面白く思うことを追求していく風土があります。そこに対して上司とも自由にディスカッションできるフラットさがあり、それを面白がる文化も会社としての大きな特徴だと思います。
視座の高さと真に迫る想いが、コンサルタントとしての信頼を生む
若手のコンサルタントがプロジェクトに入ると「キャッチアップが大変」という話をよく聞きますが、ハードスキルにはある程度の型が存在するので、大抵は教えてもらえばなんとかなります。私がそれ以上に難しいと感じたのは、限られた知識や経験の中で、一人の若手としていかにカウンターパートから信頼を得るかということです。それを痛感したのは、初めて一人でクライアントのところに行ったときです。それまでにも何度か上司と一緒に訪問を重ね、すでに面識のある方だったのですが、全く話を聞いてもらえませんでした。何度かお会いしてはいたものの、私は一人のコンサルタントとして認められていなかったわけです。
そうした状況でコンサルタントが取り組めることとしては、誠意を見せることやファクトやロジックベースの正しい提案をすることがありますが、コンサルタントにとって誠意は決定的な武器にはなりませんし、ファクトやロジックベースの正しい提案も当然のことです。
そうすると、残された選択肢は「こうあるべきだ」という真に迫る想いと視座の高さや視野の広さに基づく新たなインサイトが中心になります。時間軸で将来から現在へ引き戻したり、他の領域の知見を活用したりするなど、高い視座で付加価値をつけた提言ができなければ、カウンターパートに気づきを与え行動変容を促すには至りません。たとえファクトとロジックを用意周到に準備していても、伝えたいことがない人の話は聞いてもらえない。そのことに気づき、ファクトやロジックは伝えたいことを伝えるために不可欠なツールだと割り切れるようになるまでに、少し時間がかかりましたね。
特に始めのうちはクライアントの話を聞いて、上司の指示に従いながら分析して紙に落とすことが仕事だと思いがちですが、そのスキル自体はもはや特別なものではありません。
また、ディレクターになってからは、自分だけではやり切れないことをどうやって形にし、チーム全体のバリューを最大化するかということを常に考えています。ディレクターになるまでは「最後は自分でやってしまおう」という気持ちが強かったですね。しかし今は持っている案件数も多いですし、ファームや産業全体としてどうするべきかについて考えることが増えました。さらにワークライフバランスにも積極的に取り組んでいるので、限られた時間の中で最大の価値を産み出すことが必要です。その中でメンバー一人ひとりがどのように視座・視野・視点の3つを養いながら、自分らしさを発揮できるかという設計が必要なので、今もそこにはかなり気を配りながら取り組んでいます。
コンサルティングを経験して気づいた、3つの大事な素養
社内ではコンサルタントを表す際に、エの字人材という言葉を使うことがあります。豊富な知見や知識を有するゼネラリストでありながら、同時に専門性も兼ね備えたスペシャリストであり、知見と課題を突合して経営者に寄り添う相談相手となれる“経営”コンサルタント。それこそがMURCのコンサルタントとしてあるべき姿です。私の場合は幅広い案件を手がける中でも、戦略策定やスマートシティという領域に専門性があります。また、MUFGグループの基盤を活かしたHub的な役割を体系化し、グループ全体でレバレッジするしくみの構築にも関与しています。
そんなエの字人材を目指すために、私は3つの素養が必要だと考えています。一つは、自由に対する耐性と自走力です。当社の場合は想像以上に活用できるアセットが豊富ですが、それらを目の前にした時に、どう活用すれば良いかわからないという問題に直面することがあります。決まった解がない中で、どのように最も確からしい固有解を導き出し、クライアントに対してどういう価値を提供できるか。そのためには「何をすれば良いのか」という日々のアクションさえも自分で導き出せるくらいの主体性が求められます。
もう一つは、当事者意識を持って物事にのめり込む力です。プロジェクトでは今まで自分が使ったことのない商品や、聞いたことのないような技術を扱うことも多く、時には関心の低い課題と向き合うこともあります。それでも自分の中にある知的好奇心や問題認識を研ぎ澄まして、一つのことを突き詰めて考えたり、それを抽象化して他の物事に応用したりすることを面白がれる人は、コンサルタントとして魅力的です。
実際に当社の経験豊富なパートナーの提案では、15年前に携わった案件の知見を今の時代に合うように応用したり、全くの異業種のプロジェクトから課題解決の切り口を導き出したりすることもよくあります。そういう提案は聞いていて興味深いですし、異なる業界の専門家であっても「自社の案件をお願いしたら、何か新しい可能性を見出してもらえそうだ」という期待を抱かせます。
最後に、素直さと反骨心のバランスです。一般的には素直さが重視される傾向にありますが、反骨心も併せ持っていることが大事です。もちろん上司から聞いた指示はそのまま受け止めて、考えや意図を的確にキャッチアップしなければいけません。それでも心の中では「そのプロジェクトに関するファクトを一番理解しているのは自分だ」という気持ちを強く持ち、「これだけは自分の意見を伝えよう」と決めて発言できるかどうかで、得られる信頼の大きさや成長のスピードは変わっていきます。
新たなコンサルティングの形を追求する最良の場としてのMURC
今はコンサルタントを目指すのにとても良いタイミングです。コロナというマイナスの要因もありますが、デジタルシフトが加速し国全体が大きく変わろうとしている中で、世の中の構造自体を創り出すコンサルティングに携わることができる環境が揃っているのがMURCだと思います。20年、30年前はどうすれば海外に追いつけるかを考えるようなプロジェクトが多かったと聞きます。電化製品や自動車をどう世界に売っていくのか、グローバルでどのように日本のプレゼンスを高めていくのかというテーマはもちろん面白いですが、これからは産業の形さえも自ら考え創り出していく役割が求められるでしょう。国や企業とパートナーシップを組み産業自体を創ることのできる、エキサイティングな業界の一つがコンサルティング業界です。
また、これまでのコンサルティング業界は、テーマやバリューチェーンの中での住み分けしかありませんでした。しかし業界自体が成熟してきたことで、今後はファームやコンサルタントによって軸足の置き方がより一層多様化するでしょう。ただたくさんのファクトを積み上げてロジカルに考え、そこから導き出された示唆をもとに提案をするだけのコンサルティングには限界も見え始めています。いかにそれ以外のアプローチを含めた複合的な提言を行い、実現に向けた具体的なアクションに繋げていけるかがより重要です。
一方クライアント目線で考えると「コンサルタントは課題解決のために何を提供してくれるのか?」という問いに尽きると思います。当社であればMUFGグループのネットワークを駆使し、産業を形にしていくためのファイナンスを中心としたソリューションを提供し、課題解決を実現可能にするアプローチをとっていくということだと思います。当然そこに関しては日本で一番のファームであるべきでしょう。私自身においても、スマートシティ以外で「循環経済(SDGs/ESGを持続可能なものとするサーキュラーエコノミー)」「宇宙ビジネスの産業化」をテーマアップしながら新たな切り口で日本に貢献する動きを進めていきたいと考えています。
日本社会に何か引っ掛かりを感じ、こういう風に良くしていきたいというWillがある人にとって、MURCにはまさにタイミングとケイパビリティの両方が揃っています。とはいえ、必要なパーツは揃っていてもまだ体系的な型が整っていないので、MURCの中で、それをリードする役割を担って進めていきたいというのが、私の中期的な目標です。MURCには豊富なアセットを最大限活用できる面白みがあり、それを使って取り組める案件は山ほどあります。新卒入社の社員や若手メンバーに委ねる裁量も大きいので、この土壌をうまく活用してくれることを期待したいですね。