就活中の東大生・ムツオがサマージョブ後に連れていかれたのは、外資コンサル出身のバーテンダー・リサが店主を務める“外コンBARふぁくろじ”。どこかで会ったことありませんか、そう尋ねるムツオに、彼女は今夜もささやく。「知ってた? 私は『コーポレートアイデンティティ』が分からない男なんて、願い下げよ。」
第19夜:コーポレートアイデンティティを刷新し、スポーツ市場を拡大させる「グローブライド株式会社」が凄い
SMAP、ユニクロ、三井物産。さて、共通点は何でしょう?
解散、ヒートテック、総合商社……全然分からないですよ!
知りたい?
き、気になります……
それは、今日分析する企業の成長と大きく関係がある。
グローブライドが優良企業である3つの理由
- 市場規模拡大の恩恵をもっとも受ける、世界トップシェアの地位
- スポーツメーカーの中でもカーボン加工技術を強みに多角化
- 5期連続成長、売上高は過去最高に
スポーツメーカーと、SMAPとユニクロと三井物産……余計分からなくなってきました……
マッキンゼーが提唱した7Sモデルって知ってる?
企業組織を考える上で必要な7つの経営資源のことですよね。確か、ハードのSとソフトのSがあって。
これまで私たちが分析していたのは、ハードSの方。組織構造(Structure)、システム(System)、戦略(Strategy)に偏った分析だった。
確かに、戦略だけ見ていて中の人や社風に注目したことはなかったです。
今日はグローブライドの事業を読み解きながら、新しい戦略の視点に注目してみましょ。
市場規模拡大の恩恵をもっとも受ける、世界トップシェアの地位
グローブライドは、「DAIWA」ブランドの釣具で世界トップシェアを誇る企業よ。世界で2割超のシェアを持っているグローバルカンパニーね。
トップシェア企業なら、マーケットそのものを拡大する戦略を取ればいいんですよね!
よく覚えてるじゃない。あとは、価格戦略も重要。
市場規模拡大をしながら、できるだけ価格競争を避けて利益率の低下を避けるのが定石。以前「競争地位戦略」でリサさんから教わりました。
ただ、感づいてるとは思うんだけど、日本全体で大きく見るとスポーツ関連の市場規模は縮小してる。
出典:レジャー白書2013,2014,2015,2016(公益財団法人 日本生産性本部)
だから、市場規模拡大の努力はもちろんするんだけど、当然それに加えて多角化も推進したの。
スポーツメーカーの中でもカーボン加工技術を強みに多角化
スポーツメーカーの多角化ってことは、他競技への進出でしょうか?
世界トップシェアとして高いブランドイメージを持っていた釣具の「カーボン加工技術」を強みに、テニス・バトミントン・ゴルフ・自転車などに市場を広げていった。
テニスラケットの”Prince”は高校のときに使ったことあります!
もともと良い技術を持っていたこともあり、新しい商品ラインナップは各競技で主要ブランドに成長して、多角化は一応成功したわ。
なんだか歯切れが悪いですね。
実は、当時の社名は”ダイワ精工”だったの。多角化に成功したはいいものの、世界トップシェアの釣具であるDAIWAブランドが強すぎて、投資家や営業先などから疑問をぶつけられるようになった。
「なんで釣具メーカーがテニスとか自転車なんですか?」ですね。
そう。しかも、リーマンショックや3.11などの消費細りから、利益は急落。右肩上がりだった業績がかなり落ち込んでしまった。
マクロ経済の打撃なんてどうしようもないですよね。でもすでに主要事業は世界トップシェアだし、多角化もそこそこ上手くいってるし、どうすれば……
一番最初に7Sの話したの覚えてる?
あ、そうか! ソフトS、共通の価値観(Shared valure)・社風(Style)・人材(Staff)・能力(Skill)をまだ考えてなかった!
知ってた? 私は『コーポレートアイデンティティ』が分からない男なんて、願い下げよ。
ええっ、そんなあ……僕に教えてください! きっと選考にも役立つと思うんです!
コンサル選考対策ワード
コーポレートアイデンティティ(CI)
コーポレートアイデンティティ(Corporate Identity)とは、
【今夜のカクテル】サブマリーノ
佐藤可士和は昔、キリンラガービールの新デザインを手がけていたこともあったんだってね。サブマリーノは、ビアジョッキに6分目くらいまで泡を立てずにビールを注いで、その中にテキーラのショットグラスを、グラスごと潜水艦みたいにゆっくり沈めるカクテル。殺人的に酔いが回るから気をつけて。
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