【外コンBARふぁくろじ】コンサル選考対策ワード「サプライチェーン」を具体事例で分析

PCS2017

外コンBARふぁくろじ

 

就活中の東大生・ムツオがサマージョブ後に連れていかれたのは、外資コンサル出身のバーテンダー・リサが店主を務める“外コンBARふぁくろじ”。どこかで会ったことありませんか、そう尋ねるムツオに、彼女は今夜もささやく。「知ってた? 私は『サプライチェーン』が分からない男なんて、願い下げよ。」

 

第25夜:シェア84%を独占する医療用漢方のトップメーカーとして、市場拡大という難しい課題に挑む「株式会社ツムラ」が凄い

 

コンサルティングの失敗事例を知る機会ってないですよね。新規事業の失敗なら「成功への布石」ってことで、テレビで紹介されたりもするのに。

案件が終わっても成功したかどうかがすぐに分からないことが多いし、成功するかどうかは関与しないファームもたくさんある。

確かに、新規事業だったりすると、見極めるのに1年以上はかかったりするか。

2000年前後にこんな事例がある。ツムラって会社で看板事業だけど赤字だった入浴剤・バスクリン部門で、コンサルティングを導入して原価低減活動をやったんだけど、現場に定着せず失敗しちゃったのよね。

よくある「戦略だけ提案して、実行できなかった」パターンですね。

まさにその通り。ただ最終的には黒字化を達成して、MBOで部門ごと独立したわ(現在はアース製薬傘下)。

せっかく事業が立ち直ったのに、ツムラ本体から分離しちゃったのか。

その戦略を説明するためには、ツムラの事業戦略全体を分析する必要がある。

 

ツムラが優良企業である3つの理由

  1. 非常に高い参入障壁を要するニッチ領域に集中
  2. 倒産の一歩手前から立ち直り、200億円の最終赤字から125億円の黒字へ経営転換
  3. 医療用漢方薬で80%超の国内トップシェア

 

漢方ってなんだか民間医療っぽいイメージがあります。

漢方はきちんと保険適用もされていて、手術と組み合わせて使用されたりすることもあるわ。

意外とちゃんとしてるんですね! でも、普通の薬と何が違うんだろう?

西洋医学では”病名”を決定することが第一で、病名に対する投薬が行われる。一方、漢方薬は証(しょう)を見極めて”治療法”を決定することが目的なの。

 
漢方
※証(しょう)とは
漢方医学における治療指針であり、西洋医学の病名に近い概念です。漢方医は肉付き、骨格、顔色、皮膚の艶、舌の状態、声色、呼吸音、口臭、脈、腹部の初見、病歴、家族歴などの情報をもとに診断し、証を明らかにします。暑がりか寒がりか、寝汗をかきやすいか、腹部に弾力があるかなどをはじめとして、診断には多数の切り口が存在します。

 

概念が全く異なる、ってことか。

そう。だから、間違った使い方をしてる人も多い。例えば、風邪をひいて2日くらいたって「よく治らないから薬を飲もう」と思ったとき、葛根湯は合わない時が多い。

ええっ……そうだったんだ!

ちゃんと用法用量を読みなさい!

 

非常に高い参入障壁を要するニッチ領域に集中

 

ツムラは、今でこそ医療用漢方製剤でトップシェアを誇る優良企業になったけど、実は1990年代後半に一度経営危機に陥ってるの。

90年代後半っていうと、バブル崩壊後ですよね。

雑貨の輸入販売、不動産、美術品の買い付け……漢方とは全く縁のない事業へ迷走。創業社長の特別背任罪による逮捕や、新たな副作用の発見とも重なり、大赤字になってしまった。

そんな企業の経営再建なんて、コンサルでもしんどそう。

ここまで来たらもう失うものはない。赤字子会社の整理・売却、漢方とシナジーのなかったバスクリンなどの事業から撤退など、削るところを削りきって医療用漢方製剤一本に事業を絞り込んだの。

でも、一般的には製薬業界って新薬開発費が高いから、資本が安定していないと無理なんじゃないですか?

西洋薬は処方の根拠を科学に求めるんだけど、漢方は処方の根拠を歴史に求めるの。つまり漢方の概念上、新薬開発ははできないってわけ。

特殊な世界なんですね。

その上、ツムラが得意とするのは医療用医薬品だから、一般用医薬品とちがって大規模CMなんかの広告費もかからないしね。

そんないいことだらけなら、競合がどんどん増えそうな気がします。

そこに参入障壁の壁が立ちふさがる。原料となる植物の生産がとにかく難しくて、日本の基準を満たすものは中国の一部地域に生息する野生種のみ、といった場合もあるの。

ツムラは、他社の参入可能性が低く、収益性の高いビジネスをそもそも持っていたんですね。経営再建は、シンプルに事業を絞り込むだけでよかったんだ。

 

倒産の一歩手前から立ち直り、200億円の最終赤字から125億円の黒字へ経営転換

 

売上高もじわじわ回復してますけど、何よりも営業利益の上昇がすごいですね!

 
ツムラ売上高営業利益推移図
 

1998年に1189億円あった有利子負債を300億円規模まで圧縮。2001年に約200億円の最終赤字だったのが、2016年には125億円の黒字へと反転している。

現在は市場シェア84%、営業利益率20%前後を維持してる、いわゆる優良企業ですね。

ただ注意したいのは、漢方市場の成長率が過去5年平均で2~3%程度であること。

シェアは高いが、成長率は低い……プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)で言う、「金のなる木」ですね。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

キャッシュ創出力が高いのが、金のなる木の特徴よ。

これで、前時代の負債の圧縮と、財務基盤の安定化が進んでいったんだ。

 

医療用漢方薬で80%超の国内トップシェア

 

市場シェアの高い企業、つまりマーケットリーダーが取るべき戦略は覚えてる?

市場そのものの拡大ですね!

もし、あなたが経営戦略担当ならどうする?

うーん……MRの活動を増やして、漢方薬が処方できる医師をどんどん増やしていくのはどうでしょう? あと、医大生向けの漢方教育推進の働きかけとかもいいかな……

いい施策じゃない、実際にツムラも実施してるわよ。でもそれだけで大丈夫?

え、他にも何かあるんですか?

いい、さっきも言ったように、漢方の原料はとにかく調達が難しい。原料価格も、2006年から2011年の間に2倍以上高騰してる。そんな中、どんどん需要が増えていったらどう?

供給が追いつかなくなる……

知ってた? 私は『サプライチェーン』が分からない男なんて、願い下げよ。

ええっ、そんなあ……僕に教えてください! きっと選考にも役立つと思うんです!

コンサル選考対策ワード

サプライチェーン

サプライチェーンとは、原料の段階からはじまり、顧客が製品やサービスを手にするまでの一連の流れのこと。ポイントは、自社だけでなく協力会社も含めたモノやサービスの流れを記載する点です。生産、組み立て、販売など個別最適化された経営改善だけでなく、協力会社との関係や、サプライチェーンそのもの再構築まで、全体最適の視点で経営改善を行うことを「サプライチェーン・マネジメント」と呼びます。
 
サプライチェーン

普通のメーカーなら、調達価格が上がれば販売価格を上げて対応すればいいわ。でも、医療用医薬品の値段は国が定めてるから、変えられない。

生産量が増えるほど、収益性が下がっていくなんて!

だからツムラが取るべき戦略は、市場拡大と同時に、サプライチェーンの最適化、特に調達部分でのコスト改革が急務ってわけ。

ええっと……最近だと、自社管理圃場を増やして調達価格の安定性を図る戦略や、設備投資で生産工場の自動化を進めていく戦略を導入してます。

医療用漢方事業のキャッシュ創出力を活かして、アメリカや中国への進出も始めてる。2016年には漢方がWHOにも認められたしね。

まさに今が飛躍の時期ですね!

せっかくだから、今日は桂皮(ケイヒ)を使ったカクテルにしましょ。

桂皮って、葛根湯にも使われている生薬ですよね?

芳香性健胃薬に分類されていて、医療用語っぽくラテン名で言うと、CINNAMOMI CORTEX。

シナモミ・コルテックス?

英語で言うと、「シナモン」ね!

 
グロッグ
【今夜のカクテル】グロッグ
グラスにゴールド・ラムとレモンジュースを少々。お湯で割って、クローブとシナモン、角砂糖を入れたホットドリンク。本当は取っ手付きのグラスを使うんだけど、うちの店ではちょうど切らしててごめんなさいね。寒い冬の日に、一杯いかが?

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