このページでは、多くのコンサルティングファームで課される「ケース面接」について解説します。ケース面接はコンサル志望にとって、壁の一つではありますが、一番のアピールの場でもあります。しっかりと対策しましょう。
目次
ケース面接の具体的な解き方についてはこちらをご覧ください。
>【ケース面接対策】初心者でも選考突破に大きく近づく思考法
また、ケース問題の例題を見たい方はこちらをご覧ください。
>外資戦略ファーム内定者が添削、ケース問題添削集
想定されているのはクライアントとのやり取り
なぜコンサルティングファームの選考で「ケース面接」を行うのか。それは一言で言えば、「この学生はコンサルタントになった時に、きちんとクライアントを納得させる提案ができるかを判断するため」ということになります。エントリーシート(ES)は文章作成能力、グループディスカッション(GD)は社内ミーティングと結びついているように、ケース面接はクライアントとの打ち合わせと結びついていると考えるのが妥当でしょう。
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社外打ち合わせでコンサルタントに求められる4つの能力
コンサルタントがクライアントとの打ち合わせをする上で必要な能力は大きく分けて4つでしょう。「プレッシャー耐性」、「ラポール形成能力」、「コミュニケーション能力」、「論理的思考力」です。
プレッシャー耐性
いかなる状況でもコンサルタントとして冷静な判断をくだし、最善の結果を出せる人材かどうかが求められます。クライアントとの打ち合わせは、コンサルタントとの仕事の中でもっともプレッシャーがかかるものです。せっかく用意した提案が「所詮、外野の人間が考えたこと」と一蹴されるのもよくあることです。そのようなプレッシャーがかかる状況の中でも、普段通りの冷静な判断や対応ができることが必要です。
ラポール形成能力
ラポール(Rapport)とは、臨床心理学の言葉ですが、セラピストとクライアントが適切な距離感を保ちながら信頼関係を築いた状態を意味します。同じようにクライアントの元で仕事をやることが多いコンサルならではの観点ではありますが、しっかりと第三者的な目線でクライアント企業の課題やそのボトルネックを分析するために「適度な距離感」を保ちつつも、良い提案をスムーズに受け入れてもらえるような「信頼関係」を獲得していくスキルが求められてきます。そのためには言語的コミュニケーションスキルを超えた、「人当たりの良さ」や「仕草」「目線」といったスキルが求められるでしょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力といっても漠然としているのでさらに分解していく必要があります。大切なのは「自己主張力」と「他者受容力」でしょう。コンサルにとって、自分の言葉をしっかりと言語化できるのは最低限必要な力です。そうしなければ、クライアントとの相違が起きてしまうこともあります。適切な言葉を選び自分の考えを明確に伝えられる能力や、齟齬が起きていると感じたら確認して軌道修正を図っていく能力が求められます。
論理的思考力
クライアントの問題解決を行うブレインとしての役割を持つコンサルでは、鋭い分析力が求められます。それはコンサルタントは数字に強いことが好まれていることにも通じています。また、話し方に論理の一貫性があることは説得的な提案の下支えにもなるため重要です。
ケース面接までに習得すべき能力
前節ではコンサルタントがクライアントとの打ち合わせで発揮する能力について解説しました。そこで必要な能力は「プレッシャー耐性」、「ラポール形成能力」、「コミュニケーション能力」、「論理的思考力」の4つでした。この節では、それら4つの能力から考えられる「ケース面接で見ているポイント」を解説していきます。
前節の4つの能力をさらに分解すると、「ポジティブ思考力」、「気持ちの良さ」、「伝達力」、「折衝する力」、「思考プロセス」、「分析力」になります。これらの能力を総合的に判断するのがケース面接だと考えられるでしょう。これら6つの要素を満たすためには、3つの対策をしていくことが重要です。
楽しむ姿勢とは
「選考なのに楽しめなんて無理でしょ…」と思うかもしれませんが、これはかなり重要な姿勢になってきます。プレッシャー下でもいつも通りのパフォーマンスができる力が必要だと述べましたが、面接官は「いつも通りのあなた」を知りません。したがって面接官があなたにプレッシャー耐性があると判断するには「ケース面接を楽しんでいる姿勢」を見せるのが最も良い方法になります。また「楽しむ姿勢」を見せることで、「気持ちの良い人だ」とも思ってもらえます。議論の穴を突かれたり、詰められたりすると面喰らうかもしれませんが、それを「面白いですね」と受け入れ、議論を進めていくことを心がけましょう。
「建設的」を構成する要素
当たり前ですが「建設的」がどういうことなのかがわかっていなければ、「建設的な議論が大事」と言われてもできません。建設的な議論ができた状態というのは、相手の意見と自分の意見が混ざり合い、双方が納得する解を導き出した状態です。そのためにはまず、相手に自分の意見を正確に伝達する能力が必要です。意図の食い違いは議論のねじれを生み、納得からは程遠くなります。
その上で、折衝する能力が求められます。相手の意見を受け入れる時は受け入れ、切る時は(理由をつけて)切ることによって、双方の意見が混ざり合った納得いく解が出せます。
思考練習
思考プロセスの論理性や分析力は、ある程度までは後天的に養うことができます。その一つに『複雑な概念や言葉をいくつかの要素に分解するために用いる公式』と表現される「フレームワーク」があります。詳しくはコンサル就活でよく聞く「フレームワーク」って何?をご覧ください。
「論理的思考力」を要素分解すると、
- 論点設計力…大きな問いを適切に設定する
- 構造分解力…問いをフレームワーク等を使って深掘りする
- 観点の幅…様々な観点・切り口から問いを深掘りする
- 構造化の能力…深掘りしたものをまとめる
- 当たりをつける力…深掘りすべき観点を見分ける
- 思考スピード…時間内に解までたどり着く
- 全体像への意識…全体の議論の中で今の議論の位置を把握する
に分かれます。これら7つの力がしっかりと養われている人が「論理的思考力がある人」とされる人でしょう。普段の生活からこれら7つの要素を意識して思考練習を繰り返しましょう。特にケース面接は時間がかなり限られているので、「当たりをつける力」と「思考スピード」が求められます。
最後に
面接官は上記のような能力を判断するために、ケース面接を課していると推測されます。練習の段階から意識することによって、本番でも通用する力を身につけてください。特にフレームワークを身につけるというのは一人でもできますが、議論を楽しむ姿勢や建設的な議論を組み立てる方法は対人の練習を積み重ねることでしか対策できません。就活サービスの無料講座や友人を利用して対人練習を重ねましょう。
また、コンサル就活を進める上ではどの場面でも「ロジカルシンキング」の力が試されます。ロジカルシンキング系のスキルは必ず身につけておきましょう。対策としては、ロジカルシンキング関連の書籍を読む(オススメは『考える技術・書く技術』です。マッキンゼーでライティングを教えている方が書かれた本です)、または就活支援企業のロジカルシンキングの無料セミナー(元コンサルが主催しており、演習なども行われ分かりやすく体系的に学べました)などを利用しましょう。